昨季ジュニア3冠の松生理乃(17=中京大中京高)が、シニア1年目で本格参戦となったグランプリ(GP)シリーズのSPで63・34点をマークした。

冒頭の3回転ルッツ-3回転トーループが回転不足と判定されたが、続くダブルアクセル(2回転半)と3回転フリップは着氷。右足首を痛めていた影響でトリプルアクセル(3回転半)を回避し、2連続ジャンプも基礎点が1・1倍になる後半ではなく冒頭に持ってきた。「足を痛めて、まだ完治していないし、練習を休んだことでジャンプが崩れてしまったので。後半にコンビネーションはリスクが高すぎる。この構成はすごく悔しいんですけど、安全に、ノーミスに、を考えました」と説明した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ほぼ国内勢の変則開催となった昨年のNHK杯は3位。今季は海外勢も出場する初めてのGPとなり「しっかりと練習が満足いくまで積めていない中、いつも以上に緊張しましたし、不安な気持ちの方が大きかったです」と打ち明けたが「でも曲が始まって手拍子をしていただいたり、生で見ていただけるうれしさで、楽しく滑れました」と感謝も忘れなかった。

山田満知子、樋口美穂子の両コーチからは「思ったより点数は出た。大きいミスがなかったので良かったね」と声をかけてもらったという。ステップシークエンスがレベル1(最高は4)の評価にとどまったことには「やっぱりスピン、ステップは前から課題だったんですけど、今回はジャンプを失敗しないことに集中したくて、ほかに気が回りませんでした」と悔しそうに話した。

翌13日のフリーへ「明日も完璧な演技は難しいと思うんですけど、どれだけ楽しく滑れるか考えたい」と懸命に前を向いた。【木下淳】