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今日のイベント

【大会】

日本学生氷上選手権(インカレ)

▼会場

北海道・帯広の森スポーツセンター

▼種目

女子7、8級(午前10時25分~午後3時45分)

※時間は予定


今日の誕生日

マイケル・マリナロ(1992年)→21年(最終項にリンクあり)

池田喜充(2000年)

日本の男子アイスダンス選手。矢島榛乃と組んで20年全日本選手権5位。21年は棄権


今日の1枚

日刊スポーツが蓄積してきた写真の中から厳選して紹介します。

2021年11月14日
2021年11月14日

21年11月14日、NHK杯エキシビションで演技するエフゲニア・タラソワ、ウラジーミル・モロゾフ組(撮影・菅敏)。

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プレーバック

オリンピック(2006年トリノ五輪)

19歳高橋大輔が8位

不完全燃焼の借りはバンクーバーで返す。フィギュアスケート男子フリーが2月16日に行われ、ショートプログラム(SP)5位の高橋大輔(19=関大)は204・89点で8位に終わった。4回転ジャンプで失敗し、得意のステップでもつまずくなど、フリーだけでは9位に沈んだ。次の10年バンクーバー五輪(カナダ)は男子初のメダルを目指す。

リンクに落とした後悔を、いつまでも探していた。高橋は両手を2度、両ひざに置いてかがみ込んだ。あいさつを終えても氷から離れられない。モロゾフ・コーチに「Comeon! Notbad(来なさい。悪くなかったぞ)」と言われてようやく上がったが「もう1回やり直したい…」と、恨めしそうにリンクを眺めた。高橋のトリノ五輪は、不完全燃焼で幕を閉じた。

初出場の五輪の大舞台。最終滑走の重圧を感じていた。昼食で大好きなチョコ入りクロワッサンを口にしたが「こんなに時間がかかったのは初めて」というほど、のどを通らなかった。スタート位置に立った時、頭は真っ白になっていた。

勝負を挑んだ最初の4回転ジャンプは転倒した。立った瞬間に足がつまずき、増した焦りがさらにミスを呼んだ。人為的採点ミスで話題になった昨年末の全日本の織田と同じく、同じ種類の3回転ジャンプを多く跳びすぎてしまった。「途中で気づいたけど、どうしようもなくて…」。得意のステップも足を取られ、観衆を魅了できなかった。あいさつでもつまずいたほど、体力を消耗していた。「落ち着きがなかった」と漏らすため息は、どこまでも深かった。

不安があったことを、長光コーチは明かした。1月の米国。注文した靴がなかなか届かず、ようやく来てもサイズが合わず、再び待たされた。半月以上、時間を無駄にした。4回転ジャンプの練習も積めない。「なんでこの時期に」と募るイライラ。それでも高橋は愚痴をこぼさなかった。長光コーチは「逃げずによくやった」と、我が子のように思う弟子をたたえた。

織田の思いも背負っていた。昨年の全日本の表彰式後に関大後輩の織田と順位が入れ替わった。直後にあった気まずさは、織田からの「恥ずかしい内容」(織田)の励ましメールで完全に消えていた。自分が1枠にしてしまった世界選手権で、2枠にするために臨む織田からの気遣い。自分も負けるわけにはいかなかった。「これで自分のスケートが終わるわけじゃない。スタートと思って、また1からやりたい。次の五輪には(織田と)2人で行きたい」。新たな思いを胸に秘め、19歳の五輪は終わった。

◆高橋の母は地元で応援

高橋の母校、岡山・倉敷翠松高講堂内には、早朝から合同応援のために関係者約60人が集まった。母清登さん(56)は「自分の人生は自分で切り開くしかないんです。本人は自分らしい滑りを見せようと頑張ったと思う」と、涙を浮かべ、健闘をたたえた。

冒頭の4回転を失敗したが、落胆せずに最後まで力強いステップを踏んだ。大人に成長した表情に、清登さんが母親として接してきた甘えん坊で、いじめられっ子で、泣き虫だった高橋家四男の姿はない。

「大輔はおじいちゃん子でね。今回の五輪に(祖父の)写真を持っていく予定だったのに、忙しくて手渡せなかったのよ。残念でね」。清登さんの実父で大輔の祖父酒井米一さん(享年83)は8年前に他界した。高橋は10歳まで毎日、近所に住んでいた祖父の家に行き、そのまま同じ布団で寝ていた。運動会のお弁当を持って行くのは、祖父の役目。両親が共働きだった高橋にとって、祖父は親代わりだった。

競技力のピークがくる4年後こそ、祖父の写真とともにバンクーバー五輪に行かせたいと、清登さんは願っている。

◆ジャンプの繰り返し 国際スケート連盟の規則第320条第2項で「すべての3回転および4回転ジャンプのうち、2種類のみを繰り返すことができ、繰り返す場合は連続ジャンプの中でなければならない」と定められている。アクセル、ルッツ、フリップ、ループ、トーループ、サルコーと6種類あるジャンプ中、3回転を2度跳べるのは2種類だけ。しかも、どちらかは連続ジャンプに限られる。

高橋は最初の4回転トーループに失敗し、3回転と認定された。そのため(1)3番目の連続ジャンプの3回転トーループが1つ目の繰り返しとされた。(2)2番目と6番目でトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を繰り返したため、この時点で制限を満たした。しかし(3)3番目に跳んでいた3回転ルッツを8番目でも跳んでしまったため、最後の3回転ルッツ(基礎点6点)が得点から除外されてしまった。

◆高橋が4回転ジャンプを成功させていたら 高橋が転倒した最初の4回転トーループ(基礎点9点)は3回転とみなされ、さらに減点されたため、トータルでは0点だった。もし、4回転がきれいに成功したと仮定すると、基礎点に最大プラス3点がつく。8番目に跳んだ3回転ルッツ(基礎点6点)も認定されることになり、これにも最大3点が加わる。すべて完ぺきだった場合、現得点に最大21点が加算されて4位に浮上していた。これに表現点が加われば銅メダルの可能性もゼロではなかった。


今日の出来事

浅田真央がアイスショーでトリプルアクセル(2013年)

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