新潟県警察1年目の星野太駆(23)が初出場で優勝した。決勝は同じ新潟県警察の先輩・五十嵐遼介(33)と対戦。開始2分56秒に大外刈りを決めて一本勝ちした。上位3人が3月6日の北信越予選(福井)に出場。東海大レギュラーで、全日本学生柔道選手権の団体優勝を2度経験している“すご腕”は、全日本選手権初出場へ、前進した。

星野が得意な大外刈りの体勢に入った。開始から2分56秒。「自分の良さを思い切り出して投げる。最後は賭けてみました」。120キロの体重を相手に預けながら、迫力満点の一本勝ちを決めた。「いろいろな人たちの力で練習できた。出場もできた。感謝の気持ちを込めた」と生真面目に初優勝の喜びを表した。

新潟県警察の1年生は、新潟市東区の交番に勤務している。「新潟は好き。困った人たちの手助けができれば」。そう話す星野は燕市出身ながら、柔道は中学時代から県外で取り組んできた。中学は神奈川の強豪校の相原に入学。岡山の作陽高に進学するとインターハイ個人100キロ超級で3位に入った。女子プロゴルファーの渋野日向子(23)とは高校3年間、同じクラス。海外メジャーを制覇(19年全英女子オープン)した元クラスメートの存在は大きな刺激だった。「自分も頑張らなければと思う」と言った。

熊倉匠監督(48)は「全日本選手権に出場する力はすでに持っている。10回出場を目標にやらせたい」と期待。東海大では2、3年時にレギュラーとしてインカレ団体優勝に貢献。3年時の全国体育系学生柔道体重別選手権(講道館)では100キロ超級で優勝している。「小さい頃からの夢」という全日本選手権の初出場へは北信越予選の決勝進出が条件。「いいコンディションで気持ちを高めていきたい。全日本に出て、入賞に食い込みたい」。120キロの全身には気合が充満していた。【涌井幹雄】