女子で北京オリンピック(五輪)モーグル代表の住吉輝紗良(22=日大、倶知安町出身)が5位だった。優勝した梶原有希(19=東海大北海道、札幌市出身)に準々決勝で敗れた。今季限りでの現役引退を表明していたが、胸中は揺れる。決断は保留で、今季ラストレースとなる21日のモーグルでの優勝を目指す。

住吉は今季を締めくくる大会での2冠を目指して臨んだ。北京五輪以来のレースでは、優勝した梶原と準々決勝で同走。上回れずベスト4進出を逃した。21日モーグルとの2冠を目指していただけに「優勝を狙っていたので結構早く終わっちゃった」と悔しがった。

初出場だった北京五輪では15位だった。試合後は涙ながら「4年5年ぶりにすごく楽しくて、本当にもうずっと何のために滑っているか、何のために生きているか分からなくて、今日滑られて良かった」と語っていた。北京五輪を「最初で最後」と決めて懸けていた。「言うとプレッシャーなので」と秘める引退後の夢があり、日大卒業後は競技から離れるつもりだった。

だが五輪後、現役続行へのサポートの話があり、決断を延ばすことにした。出場権を手にしている来季のワールドカップ(W杯)出場をすすめられており、「本当に悔いないように楽しんで滑るだけでいいからって言ってくださっている」という。モーグル人生については「満足している」と言い切るが、そんな言葉に「多分正式に引退するかしないか発表するのは8月9月になると思う」。あらためて熟考するつもりだ。

目標だった18年平昌五輪出場を逃し、気持ちの整理に苦労しながら何とか再起して4年後、夢舞台に立った。攻めの滑りで勝負に挑んだ。達成感はある。だが五輪後も練習をしたいと自ら思えた。今大会に向けても「私しか出来ない」と自信のあるカービングターン(板を直線的に滑らせる)を重点的に取り組んだ。向上心も闘争心も消えてはいない。だから「明日1戦なので頑張っていきたい」と頂点を狙う。例え現役ラストになっても、来季も続けても、五輪シーズンの締めくくり。悔いだけは残さないために。【保坂果那】

◆住吉輝紗良(すみよし・きさら)2000年(平12)3月8日、倶知安町生まれ。倶知安東小2年でモーグルを始める。倶知安高1年でナショナルチーム入り。18年世界ジュニア優勝。同高1年時には陸上800、1500メートルで全国高校総体出場。日大進学後は19年ユニバーシアード金メダル、19、21年世界選手権代表。W杯最高は21年2月ディアバレー大会(米国)で3位。今季W杯個人総合は6位。