日本バドミントン協会は25日、元職員が18年10月から19年3月にかけて約680万円を私的流用していた案件などを公表した。

日本代表合宿時の選手負担金1万円や、国際大会の少額獲得賞金(数万円~十数万円)として徴収していた現金を、元職員が協会口座に預けることなく使っていたという。

会見した銭谷欽治専務理事(69)は「詳しくは分からないが、負債を抱えていた、とうかがっている」と説明。19年3月に発覚後、調査を進め、同11月末の理事会で対応を協議。銭谷氏は「刑事告訴も検討した」というが、最終的には「ある理事から『理事会の全員に責任がある。まずは欠損を出さないようにするのが責務だ』との提案を受けて」理事、監事の計11人が私費を出し合い、私的流用分を元職員に貸し付ける形で未収金の穴埋めをしたという。

元職員は20年6月30日付で諭旨退職となった。弁済の公正証書にはサインしており、月6万円の返済を現在も続けている。

一方で当時、公表を控えたのは「言い訳に聞こえるかと思うが(延期前の)東京オリンピック(五輪)・パラリンピックが翌年に控えていたため、そこへの影響をプレッシャーに感じていた。国や組織委に迷惑を掛けたくなかった」との理由だったという。

「意図的に隠蔽(いんぺい)した事実はない」とも強調したが、昨年10月末、内部通報を受けた日本オリンピック委員会(JOC)から調査報告依頼を受けて方針転換。日本バドミントン協会の倫理委員長を務める理事が入っていたため完全な第三者委員会ではないが、外部弁護士を含む調査委を設置。41ページの報告書を提出した。

そして今月に入り「アドバイス」という形でJOC山下泰裕会長ら幹部から公表を勧められ、公表する流れになった。

銭谷専務理事は「猛省しており、ガバナンスの意識が不足していた。現在は現金の取り扱いをやめ、会計担当も3人増員してチェック態勢を強化した」と報告した。【木下淳】