「キセキの世代」が集大成の夏を迎えた。5年ぶり出場の山形中央が、佐賀学園にストレート勝ち。エース中村来太郎主将(3年)を中心に攻撃を組み立て、16強入りを決めた。現チームは同主将をはじめ、全国中学校体育大会準Vメンバーの4人が主力。悲願の「日本一」実現に向け、ラストイヤーにすべてをかける。一関修紅(岩手)東北(宮城)も16強入り。相馬(福島)弘前工(青森)は初戦敗退となった。

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5年ぶりの出場で16強入りを果たしたが、中村主将に笑顔はなかった。「個人として、チームとしてミスが目立ち、硬さがあった。こんな戦い方をしていたら、勝ち上がっていくことはできない」と危機感を口にした。結果は2-0の快勝。だが、内容には満足できなかった。要所でスパイクをネットにひっかけ、守備でもミスが重なった。頂点を見据えるからこそ、反省を忘れなかった。

「エースとしての活躍はできなかった」。試合後、そう振り返ったが、重要な局面では勝負強さを発揮した。第1セット(S)を先取して迎えた第2S。序盤から一進一退の攻防が続き、9-8。この緊迫した状況を中村が打ち破った。中村の渾身(こんしん)の一打を皮切りに6連続得点。相手を一気に突き放した。「自分がしっかりしないといけない」という強い覚悟を胸にチームを引っ張った。

山形六中でも主将を務め、19年度全中準Vキャプテンとなった。当時、ともに戦ったメンバー4人が、現チームの主力としてコートに立つ。「全国優勝したいです」。高校最後の年。この言葉にすべての思いが込められている。

だからこそ、普段の練習から妥協は一切許さない。「練習からお互いに厳しく言い合う。苦しい時に、ボールをどこまで追えているのか。集中した顔つきをしているか」と、とことん突き詰める。悲願の日本一を成し遂げるために。【佐藤究】