ショートプログラム(SP)6位の紀平梨花(20=トヨタ自動車)が、ノーミスの演技に笑顔で両拳を握った。

SP64.07点にフリー128.36点を加えて合計192.43点とした。右足首の疲労骨折で昨季は全休。復帰シーズン初の表彰台にはわずかに届かなかったものの、総合4位となった。

冒頭の3回転サルコーからダブルアクセル(2回転半ジャンプ)-1回転オイラー-3回転サルコーなど全7回のジャンプに成功。後半には、右足首の疲労骨折で昨季全休して以来の3回転フリップを降り、納得の表情で「タイタニック」を演じ切った。スピンは全て最高評価のレベル4を獲得。リンクサイドのトレーシー・ウィルソン・コーチも喜んだ。

ただ、得点は想定には届かなかった。シーズンベストではあったが、スコアを聞いた瞬間は首をひねり「SPは60点台の後半、フリーは130点は出したかったので。どっちも足りていないですし、でも課題は見つかっていて、着氷後とかGOE(出来栄え点)を取れるように。いろいろなところを分析して課題を見つけられたかな」とGPシリーズ2戦を振り返った。

第2戦スケートカナダは5位、そして今回4位。着実にスコアを上げて完全復調に近づいている。次は年末の全日本選手権(12月21~25日、大阪・東和薬品RACTABドーム)に向けて、さらに目指す構成を追求していく。

演技後の一問一答は次の通り。

-振り返って

朝から構成を変更したんですけど、1本ずつ思い通りに跳ぶことができた。点数に対しては、もっと高いところを見据えていて悔しい思いはあります。

-質の高い演技だったが、まとめられた理由は

この1カ月間、すごく頑張って練習を積んできた。フリーはショートよりも多く練習しているので、得意で。集中して1本ずつ跳んでいくことが大事。緊張する場面でも、練習通りに演技することができた。

-順調な回復

1歩ずつ上がってこられているかな。次は全日本に合わせていきたい。計画的に構成を組んで練習を続けていって、たくさん練習を積んで、構成をしっかりとして高い点数を取れるようになれたらなと。

-フリップを解禁した

フリップも練習で跳んでいる中、どのジャンプも良かったので。大きな大会では難しいと思っていたんですけど、いつも通り、すごく集中しては入れたなと。跳べないかも、と思うジャンプは入れたくなかったので、絶対にノーミスと強く思えるジャンプを入れました。

-2戦の手応えは

ショートをちゃんと練習しなきゃなと。フリーは体力強化にもなるので練習が多いんですけど、ショートが足りなかったなと思います。気持ち的にも難しいですし、ショートは課題。でも緊張する舞台でも、やれることは出せた。2戦とも出していただけて、うれしいなと思います。

-全日本の構成は

まあ、コンビネーションがフリーでは2つ入れられていないので。140(点)は出せるようにしたいと思ってますし、具体的なジャンプは状態というか足によるんですけど、気持ちではルッツもフリップもコンビネーションも入れたい。(トリプル)アクセルはまた考えて、とにかく必ずノーミスしたいし、頑張らないとなという思いはあります。ルッツ、フリップ2本は入れたいなと思います。

-足の現状は

1試合1試合を終えて、休ませるというか、痛くならないように、大きく痛みが出ないようになってきたので。そこまで心配する必要はなくなっている。最近すごくうれしい。毎日、そう思ってます。フリップもルッツも、でもたくさんは…。徐々に、じゃないと怖さもあるので、完全までは様子を見ながらですけど、大きくは良くはなっています。

-構成を変えたのは

私自身が決めました。朝の状態で、何かちょっと左足に痛みがあってトーループの練習ができなくて。絶対、クリーンに決めたかったので、この構成でやるとトレーシーさんに言って決めました。

(エスポー=松本航)

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