前回大会王者の東海大大阪仰星(大阪第3)が、初戦白星で、戦後7校目の花園連覇へ好スタートを切った。

大分東明を42-7で圧倒。1回戦を130得点で勝ち上がった相手の攻撃力を封じた。1月1日に前回決勝で対戦した国学院栃木と再戦する。

Bシードの常翔学園(大阪第1)はノーシードの尾道(広島)に30-31で痛恨の逆転負け。この日登場した13校のシード校で唯一の2回戦敗退となった。

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ハーフタイム中、主将のフランカー松沼寛治(3年)は、仲間の顔を見て安心した。「見違えるくらいチームが変わった」。試合ごとに表情が引き締まるチームに誇らしささえ感じた。

過去に優勝6回、準優勝2回の実績を誇る名門校。2連覇がかかっているが、とらわれずに今大会の頂点だけを見据えて準備してきた。松沼は高校日本代表候補にも選出された大黒柱で、前半13分、チームを勢いづけるトライで貢献。「選手に思考させたい」という湯浅監督の方針の下、ラグビーIQの高い松沼中心で練り上げてきた戦術が見事にはまり、一体となった速いラグビーで圧倒した。

相手は高校日本代表候補を5人抱え「チーム史上最強」との呼び声も高い強豪だ。初戦も花園歴代5位の130得点の攻撃を披露した。そんな相手を1トライに抑えたが「全然まだまだ」と湯浅監督。これまで4回、チームを優勝に導いてきた指揮官の目は厳しい。

厳しさは、期待の裏返しでもある。「(私には)見えてるところがあるし、このメンバーはそこまで行くと思ってる。自分たちで信じてやればもっと伸びるはず」。指揮官は優しく、それでいて、力強く話した。

コロナ禍で活動に支障を来した学年。例年に比べて練習試合の数も少なかったが、指揮官は花園での成長を期待する。「夏が明けてからすごく成長してる。今日の試合やる前と後でも別のチームくらい変われた」と手ごたえを口にする松沼の感覚は本物か。次戦は国学院栃木と元日決戦。前回大会の決勝再現の勝負を制し、力を証明するつもりだ。【竹本穂乃加】