14年ソチ、18年平昌オリンピック(五輪)2連覇王者で、昨夏プロ転向した羽生結弦さん(28)のスケーター史上初となる東京ドーム単独アイスショーが行われた。

序盤の4曲目まで全うした後は「6分間練習」が始まった。

昨年11、12月の「プロローグ」でも好評だった構成の1つだが、今回は英語。ジュニア時代のグランプリ(GP)ファイナルと世界選手権、シニア移行後のオリンピック金メダル、世界選手権、GPファイナル、そして20年の4大陸選手権と獲得してきたタイトルが輝かしい実績として紹介された。

「スーパースラム・コンプリート」

国際スケート連盟(ISU)主催の主要6冠を、男子史上初めて完成させた快挙をファンとともに思い返した後、再び場内にアナウンスが流れる。

「Representation from Japan Yuzuru Hanyu(日本代表、羽生結弦)」

国際大会さながらの演出で氷に乗ると「6練」では3回転ループ、4回転トーループ-1回転オイラー-3回転サルコーの3連続、4回転-3回転の2連続トーループ、美麗な4回転サルコーと試しては、うなずいた。

迎えた“本番”。5曲目も、愛されるSPプログラムだった。昨年2月の北京五輪で演じた「序奏とロンド・カプリチオーソ」。試合と同じ2分40秒間という設定で4回転サルコー、4回転-3回転トーループ、後半にはカウンターから3回転半。全て決めた。北京では氷上の穴にはまる不運で跳べなかった4回転サルコーを、再演で完璧に降りた。

演技を終えると、大きく肩を上下させて息をしながら右拳を握り、笑顔を見せた。スタンディング・オベーション。電光掲示板をバックに、三方へ感謝した。「ありがとうございました!」。最後に天井に向けても「ありがとうございました!」と言った。

北京切符を日本一でつかんだ21年の全日本選手権。そこで演技構成点「音楽の解釈」で異次元の満点を獲得した名曲を、第1部の締めに持ってきた。

再びバックヤードへ戻る際には氷を触り、右拳を2回、グッと握り直した。納得の演技をスケーター史上初の東京ドーム単独公演で完遂した。