元世界ランキング4位の錦織圭(33=ユニクロ)が、約1年8カ月ぶりの復帰戦を勝利で飾った。同333位のクリスチャン・ラングモ(米国)と対戦し、2-0で破った。

21年10月のBNPパリバ・オープン以来の実戦となったが、立ち上がりから落ち着いていた。ブランクを感じさせないショットを連発し、セットカウントを先取して主導権を握った。右足首には黒いサポーターが巻かれていた。

昨年1月に股関節の手術を受け、リハビリ中の同年9月には右足首も痛めて長期欠場を余儀なくされた。当初は今年5月下旬からの下部ツアー3大会に出場するとしていたが、調整の遅れで最初の2大会を見送った。引退の考えがよぎったこともあったが「こんなに努力したのをこのぐらいのことで手放すのか」と、強い意志で復帰を目指してきた。

実戦形式の練習に本格的に取り組んだのは、約2カ月前から。不安も隠さなかったが「それと同じくらい、ここからやっと戻れるんだなという安心感と楽しみもある」と、期待感をにじませていた。

前日には試合会場でショットなどを確認。「まずは試合を楽しむことが一番」と意欲的に話した。この日も大きな声を出して自身を鼓舞するなど、闘志をむき出しにした。錦織が、新たな一歩目を踏み出した。

◆ATPツアーの全大会で本選出場するには、世界ランキング50位以内が目安となる。予選を経ずに最高峰グランドスラム本戦に出場できるボーダーは100位前後。シングルスのランキングは、過去52週間(約1年)に出場した大会での獲得ポイント(P)上位18大会の合計Pで決まる。錦織が出場中のチャレンジャーツアーは、優勝で50~175Pが付与される。現在の100位ラインは600P前後。ランク外の錦織がATPツアーに出場するためには、ツアー下部大会でポイントを積み重ねていく必要がある。

◆テレビ放送 男子テニス米下部ツアー、カリビアン・オープン(米自治領プエルトリコ)の錦織圭の出場試合はWOWOWで放送。WOWOWオンデマンドでライブ配信される。