プロフィギュアスケーターの高橋大輔さん(37)がプロデュースするアイスショー「滑走屋」の公開練習が5日に行われ、オーヴィジョンアイスアリーナ福岡で2月10~12日に開催される本番に向けた熱の入った準備を進めた。
「ソロナンバーの事、考えられないくらいですね」。目を見開いて、苦笑した。公演では4年ぶりのソロでの新作もお披露目するが、今の頭の中はショー自体の演出でいっぱい。昨年5月にアイスダンス選手として引退後、それまで感じてきた着想をこのショーに注ぎ込もうと奮闘している。
「『ここも決めなきゃいけないの』とか。『あ、こんなにもいろいろあるんだな』っていう発見もあって。本当に楽しい部分もあったりとか、でもしんどいんですけど。どんどん形になっていく姿だったり、見えてくると、やっぱり面白いなって感じてます」
全体練習で3日目となったこの日の練習では、14分にも及ぶオープニングの一部を約2時間かけて、幾度も確認。周囲には、一回りほど下のスケーターが集結していた。高校生から大学生、社会人まで、高橋自身がスカウトした現役選手が並ぶ。
「日本人だけでショーをやってみたいなって」
有名にこだわらず、自ら試合に足を運んで、ショーのテーマの1つ、スピード感ある力強い滑りを出来る選手に声をかけた。
「『滑走屋』という名前は、パフォーマンス集団じゃないですけど、そういう意味合いで取ってもらえるような名前がいいかなって」
若手を集めた意図は、選手を終えてもプロとして滑り続けられるような魅力を引き出してあげたかった気持ちもあった。プロ集団として、未来像としてこのショーがその1つの受け皿になればという願いも込める。
実際、従来のショーとは違う仕掛けを施し、観客へ新たな体験を届けにいくと同時に、若手の気付きにもつながればと思案している。振り付けに起用したのは、劇団四季出身で、独創的な舞台演出に定評がある東京パノラマシアター代表の鈴木ゆまさん。19年のアイスショー「氷艶」での共演のつながりから、既存の枠にとらわれない舞台を望んだ。
「今日見ていただいた部分でも、あまり見たことがないような構図で。動きも本当に細かくつくっているので」
床で考えた振り付けを氷上に落としていく作業を高橋自身が取り組み、その難解さの先に未知の魅力を体現しようとしている。その動きの習得が、現役選手の競技人生、その先へとつながってくれればと腐心する。シングルだけでなく、アイスダンサーとしても培った経験も生かす。
プロデュースする中で、見やすさにもこだわった。チケットの価格は6000円~1万2000円。他のショーに比べて安価に設定した。
「高くなるのは、氷を張るなどもあるので仕方ないんですけど。ただ今回は海外のスケーターも呼ばないので、コストも抑えられる。マックスまで下げられる所を考えました」
ハードルを下げて、従来のファン以外の層にもアプローチしたい。踏まえて、時間も75分と短くし、1日3公演とした。
「ファンじゃなければ2時間は長いかなと。時間枠を増やせば、いろいろな客層もきてくれたり、1日の中で他の用事もできるかと思う。来やすさを考えました」
見る側の利点、演者の利点。双方を鑑みながら、主役としてかじ取りを切っていく。
<公演名>滑走屋
<出演者(予定)>
高橋大輔、村元哉中、村上佳菜子、友野一希、山本草太、島田高志郎、三宅星南、青木祐奈、大島光翔、櫛田一樹、門脇慧丞、木科雄登、佐々木晴也、北村凌大、坪井聖弥、松岡隼矢、菊地竜生、三宅咲綺、江川マリア、奥野友莉菜、岩野桃亜
<日時>
2024年2月10日(土)
【開場】10:00【開演】11:00/【開場】13:30【開演】14:30/【開場】17:00【開演】18:00
2024年2月11日(日)
【開場】10:00【開演】11:00/【開場】13:30【開演】14:30/【開場】17:00【開演】18:00
2024年2月12日(祝・月)
【開場】10:00【開演】11:00 /【開場】13:30【開演】14:30/【開場】17:00【開演】18:00
<会場>
オーヴィジョンアイスアリーナ福岡
<チケット>
全公演共通
スーパーアリーナ席 1万2000円
アリーナ席 1万円
スタンドS席 8000円
スタンドA席 6000円
※全席指定、税込み