北海道苫小牧市役所に勤務する公務員フィギュアスケーター坪井聖弥(23)が、プロスケーター高橋大輔さん(37)プロデュースのアイスショー「滑走屋」(10~12日、オーヴィジョンアイスアリーナ福岡)にアンサンブルスケーターとして出演する。競技を始めるきっかけとなった憧れの高橋さんとの共演を果たす。

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苫小牧市役所秘書広報課の職員として勤務する傍ら競技を続ける坪井が、高橋さんプロデュースのアイスショー「滑走屋」のアンサンブルスケーターに起用された。地方公務員法の副業禁止規定のため、出演ギャラは受け取れないが、競技を始めるきっかけにもなったスケーターとの共演。「こんな機会はなかなかない。いいものは全て盗んで競技に生かしていきたい」と意欲的だ。

昨年11月、高橋さんの所属事務所から出演依頼の連絡を受けた。「立った姿が色っぽいと感じた」(高橋さん)との理由でスカウトされた。その日は、市のホームページがダウンし、復旧作業の最中だった。多忙を極める中での吉報に「喜び半分だった」と振り返った。作業が一段落してやっと実感が湧いた。「諦めずにスケートをやってきて良かった」。

高橋さんが銅メダルに輝いた10年バンクーバー五輪をテレビで観戦し、豊かな表現力に魅了され、アイスホッケーから転向。「色気は高橋大輔の右に出る者はいない」と憧れる。公演に向け4日に東京入りし、全体練習に合流。7日に福岡に移動し、直前のリハーサルを重ねている。憧れの人との対面に「滑りが映像で見てきたものより数段すごい」と、衰えない表現力に驚きを口にした。

全体練習では「まだついていけない部分もあるけど、本番までに全部そろえて最高の演技を出せるように頑張りたい」と意気込む。アンサンブルスケーターとして、複数人の出演者と一緒に統一された振り付けを踊る。「空気感を大切にしながら、欲を言えば観客の目を引く演技をしたい」。高橋さんに負けない色気を放ち、観客を魅了する。【石井翔太】

 

◆坪井聖弥(つぼい・せいや)2000年(平12)6月19日、苫小牧市生まれ。苫小牧北光小3年時に高橋大輔の滑りに憧れを持ち、アイスホッケーからフィギュアスケートに転向し、白鳥FSCに入団して競技を始める。駒大苫小牧高-北洋大。23年東日本選手権では150・06点で10位。家族は母と祖母。167センチ、60キロ。