女子200メートル個人メドレーで21年東京オリンピック(五輪)金メダルの大橋悠依(28=イトマン東進)が、引退覚悟でパリ五輪切符をつかむ。

準決勝は2分12秒30の全体1位で、24日の決勝へ進出。派遣標準記録(2分10秒70)を切り、2位以内で五輪代表に内定する。400メートル個人メドレーは4位で逃し「この種目で入れなかったらやめると思う」と集大成になる。400メートルで五輪初出場を決めた成田実生(17=金町SC)らと2枠を争う。

晴れ晴れとした表情で、大橋が集大成のレースを見据えた。「前半は全然(マックスで)いっていない。今日の感じを体が覚えていると思うので、明日も前半は力みすぎずに大きな泳ぎで攻めたい」。余裕のあるレース運びで2組目をけん引し、全体トップで締めた。

覚悟は決めている。19日の400メートルでは最後の自由形で伸びきらず、逆転を許して4位。気遣う声にも「惜しくもなかった。周りの人が思っているより、ダメージを食らったわけじゃない」と笑った。この日は午前の予選を全体トップで通過すると、あらためて五輪を逃した場合の現役引退を覚悟し「最後になるとしたら、どういうレースにしたいかを考えて、行けるにせよ、行けないにせよ、自分の持っている力を全て出し切りたい」と誓った。

東京五輪2冠を経て、200メートル一本勝負でパリを狙う意向だった。「精神的に400を泳ぐ余裕がない。自分がやる覚悟がない」。昨夏の世界選手権も200メートルのみに出場して6位入賞。昨秋から200メートルへとつなげる意図もくみ、400メートルに再挑戦する覚悟ができた。2月のコナミオープンでは200メートルで派遣標準記録を上回る2分10秒07で泳ぎ「五輪が終わってから一番速い」と自信をつけた。

400メートルに取り組んだ約半年の蓄積は、土台として生きる。「400メートル2本と200メートル3本だったら、200メートル3本の方が少ない。かなり気持ちが楽に泳げる」。出し切るだけの決勝へ「爆発できるようにしたい。あと1日でできる最高の準備をして、とにかくレースを楽しみたい」。心身の準備は整った。【松本航】