電気自動車(EV)の世界シリーズ「フォーミュラE」が30日に国内で初開催される。舞台は東京都江東区の東京ビッグサイト周辺に特設された市街地コース。広報事務局によると、公道を一部利用した本格的なレースが都心で開催されるのは初めてで、フォーミュラEのジェフ・ドッズ最高経営責任者(CEO)は「シーズンのハイライトになる」と歓迎する。

国際自動車連盟(FIA)が主催する世界選手権の1つで「EVのF1」といえる。シリーズは2014年にスタートし、10シーズン目となる今季は10都市で全16戦が予定されている。エンジン車に比べてモーターを動力とするEVは騒音が小さく、排ガスもない。環境負荷が低いレースとして注目され、ロンドンやサンパウロなどの大都市でも開催されている。

今大会のサーキットは東京ビッグサイトを取り囲むように設定された約2・6キロの周回コースで、テクニカルなコーナーでは白熱したバトルが見どころになりそうだ。話題性や利便性からファンの関心も高く、既にチケットは完売している。

マシンは最大で470馬力相当の出力があり、最高時速は320キロを超える。日本メーカーでは唯一、日産自動車が18~19年シーズンから参戦しており、同社の担当者は「将来へ向けた企業の取り組み、姿勢を示す場でもある」と意義を強調。日産は「リーフ」や「サクラ」などEVのラインアップが豊富で、レースで磨いた技術を市販車開発に生かしたい考えだ。

東京都は50年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ化を掲げている。排ガスを出さないゼロエミッション車(ZEV)の普及に力を入れている都側が招致に名乗りを上げ、かねて東京開催に興味を示していたFIAと合意した。都の産業・エネルギー政策部計画課の池田千賀子担当課長は「環境に優しいだけでなく、近未来的というイメージも持ってもらい、EVをアピールできればいい」と期待している。