パリ五輪代表に内定している橋本大輝(セントラルスポーツ)が、10連覇した内村航平以来の4連覇を達成した。合計176・164点の圧勝で、2連覇がかかるパリへ収穫多いスタートを切った。橋本以外の4人の代表は5月のNHK杯(群馬)で決定する。

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「やべぇ」。最終演技者となった鉄棒にぶら下がってすぐ、橋本は声に出し、危機を受け入れた。直前の平行棒で両腕がつった。何とか通し終え、すぐにケアをして鉄棒に備えた。ただ、昨年からの悩みの種は収まらなかった。大技を回避し技をつなげたが、着地が大きく乱れ、会心の4連覇とはいかなかった。

今年初戦。技の質を重視し、大会を仮想した3日間で2試合を戦う体力面の練習はしてこなかった。前半から4種目中3種目で15点以上を並べ、「(6種目合計で)90点も」という手応えの一方、一抹の不安はあったという。しかし、どちらも想定内。「課題として出るかなというところが出た」と冷静に受け止めた。

「90点」は、パリでライバルに勝つために必要な得点と見据える。それが見えかけ、課題は明確。「連覇は意識しなかった」と1人別次元で戦い、勝ち筋が見えてきた。「まあ、つってでも出来ればいいんですよ。結局ミスなく最後までいけば」。王者は笑い飛ばした。【阿部健吾】