フィギュアスケート男子で3月の世界選手権銅メダルの鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)が、原点回帰を誓った。9日、拠点とする愛知県豊田市の中京大アイスアリーナで、約1時間の練習を公開。シーズン初の競技会となる「みなとアクルス杯」(7月20~22日、名古屋市・邦和みなとスポーツ&カルチャー)へ向け、順調な仕上がりを見せた。

新ショートプログラム(SP)の「I Wish」は、3度の通し練習を実施。4回転-3回転の連続トーループや4回転フリップを着氷させた。また、勝負のシーズンに選んだフリー「トゥーランドット」の一部を初披露。「やっていいと言われた、一番クオリティーの高い部分」という、最終盤のステップから両手を広げるフィニッシュポーズまでをお披露目した。「すごく自信が持てるようなモチベーションにつながる作品になった」と充実の表情を浮かべた。

来年2月にミラノ・コルティナ五輪を控える中、シーズン序盤は完成度の高さを追求する。完成形は4回転フリップを投入する予定だが、フリーはまずはトーループとサルコーの4回転2種3本の構成で挑む。「音楽に負けないようにもっと表現を極めたい。高い点数を出すことも競技として必要だけど、それ以上に見てる人の何か心を動かしていけるようなプログラムになったら」。技術や表現力を評価する演技構成点の目標を「9点台後半から(満点の)10点」と設定し、自身にしかできない「技」に磨きをかけていく。

「スケートが好きという気持ちを忘れずに毎日を過ごしたい」。持ち味としてきた豊かな表現力と高いスケーティングスキルを前面に押し出していく。好不調の波があった昨季。4回転全種を組み込む世界王者イリア・マリニン(米国)を意識し、結果を求めすぎたあまり「変な方向に行っていた」と本来の自分を見失っていたという。「楽しいだけだった」という22年北京五輪は、銀メダル。「スケート人生で最強の自分だった」と振り返るあの時の感情を思い起こし、今季は誰よりもスケートを味わうつもりだ。

「楽しく練習できている。そこは昨季と違う」と鍵山。「銀の次は金しかないので」と、エースは力強く言い切った。【勝部晃多】