2季連続の最下位が決まっているVリーグ女子・アルテミス北海道だが、観客動員数は1試合平均1337人(先週時点)と、浜松(同1563人)に次いでリーグ2位を記録している。なぜなのか? 平野亮吾社長(34)は「僕らが目指しているアットホームな会場作りというところに共感してもらえているのかな、と感触として持てたシーズンでした」と振り返る。北海道民を無料にする挑戦的な試みに加え、試合後に行うファンとの交流イベントなどで距離感は近い。シーズンが進むにつれ、スタンドはチームカラーのピンクで埋めつくされた。

昨季の平均入場者数はわずか257人でリーグワーストタイだった。とはいえ、入場料収入という収益の柱のひとつを“手放す”という決断は大きい。同社長は「利益よりも認知を広げるというところにフルアクセスしないと、今後もうまくいかないだろうと思いました」。オーナー企業が変わり、リブランド1年目。まずは認知度を上げるために露出の機会を求めた。SNSも活用してチームの魅力を発信。もともと女子プロスポーツチームが少ない北海道の土壌もあり、観客数だけではなくスポンサー企業も30社以上増えた。

若く経験の浅かった選手たちが地力をつけ始めたことも大きい。昨年11月22日の福岡G戦で2季ぶりの勝利を挙げると、敗れはしたが今年1月17、18日の倉敷戦はどちらもフルセットマッチ。そしてこの日の広島O戦ではストレート勝ちで相手を寄せ付けなかった。同社長は「(集客のためにクラブも)いろいろな戦略を打っていますけど、一番根底にあるのはアルテミスが応援されやすいというチーム体質というところ」。体を目いっぱい使ってボールを拾い、つなぎ、全員で1点を目指す。ベンチの控えも点が入れば自分の得点のように喜ぶ。チームが生み出す空気感が明るく会場を包み、スタンドもまた熱く選手を後押しする。副主将の長尾のどか(27)は「すごく幸せだなと思いながらプレーしていました」。勝敗を超越した楽しさが、今季のホームゲームの最大の魅力だった。

新社会人リーグの「日本バレーボールリーグ(Vリーグ)」に参加する来季も、北海道民無料は継続する。とはいえ、最下位に低迷していては集客力にも限界はくる。同社長は「結果が伴わないと…。しっかり勝ちを届けるというところでチーム強化はしていきたいです」と、アルテミス北海道は次のステップを踏む。