<アメリカンフットボール・全日本大学選手権決勝第64回甲子園ボウル>◇13日◇阪神甲子園球場◇観衆2万5000人

 関大(西日本代表)が、法大(東日本代表)を50-38で下し、1947年(昭22)度以来、62季ぶり2度目の大学日本一に輝いた。両軍合わせて11TDという乱戦。終了約2分前にQB原口大知(4年=関大一)のダメ押し68ヤードTDランで死闘に決着をつけた。61年ぶりに関西学生リーグを制覇した勢いで、3季ぶり6度目の優勝を狙った法大を撃破。来年1月3日のライスボウル(東京ドーム)で社会人王者と日本一をかけて激突する。

 強豪の関学大、立命大を破って関西学生リーグを制した関大の勢いは、甲子園でも止まらなかった。春の定期戦で0-36と大敗した法大も撃破して、大学日本一。磯和監督は「1戦1戦強くなった」と感無量の表情で話した。

 攻撃陣が奮闘した。FGで3点を先制されて迎えた第1Qの最初の攻撃で、前回優勝時のQB羽間平安さん(82=西日本アメリカンフットボール協会会長)が当時使った「ミシガン142」という作戦を実行した。羽間さんから当時の新聞記事を手渡され、アレンジを加えた板井ヘッドコーチは「甲子園に出たらやろうと決めていた」。長く封印された作戦でRB楠田が11ヤードを走り、勢いづいた。

 前半を終えて17-16。望んでいたロースコアの展開ではなく、点の取り合いだ。勝利を引き寄せたのは、ランで228ヤードをたたき出し最優秀選手に選ばれたQB原口だった。172センチ、89キロの愛称「デブ」は第4Qには68ヤードのTDランを奪って、試合を決め「ラインがよくブロックしてくれたおかげ。攻め続ける姿勢を見せられた」と笑った。

 エースのRB藤森も抜群のスピードで相手の守備を翻弄(ほんろう)した。第3Qには84ヤードのキックオフリターンTD。年間最優秀選手のミルズ杯に輝き、「こんな展開は予想していなかった。ラッキー」と驚いた。大阪・関大一高時代には野球で目指した、甲子園での活躍に「こんな形で走れたのはすごい。興奮してしまった」と胸を張った。

 まだ社会人との日本選手権ライスボウルが残っている。磯和監督は「これで終わりじゃない」と、喜ぶ選手をたしなめた。主将のLB大舘は「守備を改善して、日本一を目指したい」と気を引き締めた。