<高校ラグビー:東福岡100-14静岡聖光学院>◇2回戦◇30日◇花園

 静岡聖光学院(静岡)は優勝候補の東福岡(福岡)と対戦し、敗れた。それでもスタイルとして貫いてきた攻撃的な守備から前半10分にCTB川島恒陽(3年)がトライ。後半28分にもセットプレーから途中出場のSH山崎智裕(2年)がトライを挙げ、意地を見せることができた。今年の高校選抜優勝チームから挙げた2トライは、来年にもつながる敗戦となった。

 優勝候補相手でも、静岡聖光学院のスタイルは通用した。前半10分、左サイドでペナルティーを犯すと相手は早いリスタートで、逆サイドにパスをつなごうとした。その瞬間、川島がパスカットするとスタンドから歓声が上がった。「絶対に転ばない」と必死に走り、ゴール中央にトライを決めた。川島は「チームの守備が機能した結果です。仲間がプレッシャーをかけてくれたおかげです」とチームの得点を強調した。

 静岡聖光学院の守備はチームで“L砲(レーザー砲)”と呼ばれている。ランやパスの前にタックルをするシャローディフェンスをより攻撃的にし、相手がボールをキャッチした瞬間をタックルで狙う守備だ。島田至隆監督(38)は「川島がこのシステムを最初に理解した」という。だが「ラグビーIQが低い」と言う川島は、理解不足の時に頭から突っ込み、3回も脳振とうをおこしたという。

 しかし、勉強熱心な川島は制服の内ポケットにL砲や戦術などを記したメモを入れ、いつでも確認していた。また、医学部受験を予定する。「ラグビーを通して、諦めないことを学び、東福岡からもトライを奪えた。これから大変ですが、(現役合格も)諦めてないです」と不屈の魂で文武両道を貫く。

 28日の倉吉北戦でNO8白鳥雅俊主将(3年)は右太ももの肉離れを起こしたが、この日は最後までピッチに立った。白鳥は「楽しかった。これからは自分たちも聖光学院を応援するので、それに応えられるよう頑張って欲しい」と後輩にエールを送った。【大野祥一】