<高校ラグビー:御所実31-19国学院久我山>◇準々決勝◇3日◇花園

 初優勝を狙う御所実(奈良)が大会NO・1ランナー竹山晃暉(3年)の快走で、2大会ぶり4度目の4強進出を決めた。7人制日本代表で16年リオデジャネイロ五輪を狙う怪物が、チームの5トライ中4本を決め、国学院久我山(東京第1)を下した。

 御所実の竹山暉にボールが渡ると花園がどよめいた。前半1分の先制トライを始め、4トライ3ゴールを決めて計26得点を記録。前半終了間際には、50メートル6秒0の快足を飛ばしてゴール目前に迫るビッグゲインもあった。「仲間がくれたパスを自分が最後ゴールまで持っていこうと決めていた。ゴール前まで行ったのにグラウンディングできなかったのが、一番の後悔です」と、まだまだ満足していない。

 昨夏のユース五輪代表にも選出された期待のフィニッシャーだ。16年リオデジャネイロ五輪も目標に置く。チーム内での信頼も厚く、SH吉川浩貴主将(3年)は「苦しいところでゲインやトライをしてくれる」と大黒柱をたたえる。

 成長して花園に戻ってきた。前々回大会では1年生WTBとして出場し、準優勝に貢献。2年前に比べ「心にゆとりが出来て、成長できた」という。1年前に左手首を骨折したことが大きく影響した。手術を受け昨春の近畿大会で復帰。「長期間ラグビーが出来ないのは初めて。このケガで成長させてもらった」。治療中は下半身や広背筋の強化に努め、体を作り上げた。

 竹田寛行監督(54)は竹山暉を「規格外。もっともっと伸びる」と評価する。奈良・河合二中時代は大阪の強豪校に進学を考えていたが、竹田監督に「夢を一緒に現実にしよう」と口説かれた。竹山暉は「この人に付いていきたいと思った。自分たちの目標と、竹田先生の夢を実現したい」。過去準優勝2度。夢の日本一まであと2勝に迫った。

 準決勝で対戦する京都成章は、近畿大会初戦で敗れた。夏以降の練習試合では勝利しているが、竹山暉は「お互いに成長していると思う。今まで(対戦してきて)負けた仲間の分も頑張りたい。一昨年の忘れ物を取りに帰りたい」。悲願の優勝を見据えた。【鈴木絢子】

 ◆竹山晃暉(たけやま・こうき)1996年(平8)9月25日、宇都宮市生まれ。父和彦さん(42)は大相撲で星鶴王(ほしかくおう)のしこ名で、最高位は幕下22枚目の元力士。1年生の弟晃稔(あきとし)も今大会ベンチ入り。河合二中時代はFB。7人制日本代表、高校日本代表候補。176センチ、82キロ。