<高校ラグビー:東福岡43-12東海大仰星>◇準々決勝◇3日◇花園

 東福岡(福岡)が2連覇を狙った東海大仰星(大阪第2)に圧勝し、優勝候補筆頭の実力を証明した。Aシード同士の対決で、最大のライバル用に隠していたサインプレーを今大会初披露。計6トライを決めて大勝し、花園通算60勝で2大会連続4強入りを決めた。前回準決勝で敗れた相手にリベンジした最強軍団が、3連覇の91回大会以来3大会ぶり5度目の優勝へ突き進む。

 秘密兵器をついに投入した。東福岡が、この日のために練習していたサインプレーを披露した。「東海大仰星との対戦だけに使おうと、全国大会前から練習していた。トライのほとんどがサインからだった」。SO松尾将太郎(3年)はそう言うと、白い歯をこぼした。

 試合開始早々の2分、右中間へトライを決めると、前半は3トライ。結局6トライの圧勝だった。後半9分、CTB永富晨太郎(3年)が決めた右中間へのトライは、相手が外へ意識がいっていたところに内に切り込んでの結果だった。「ここぞという時に用意していたプレー」。永富もしてやったりの表情だった。

 フランカー古川聖人主将(3年)はAシード同士のゲームをこう表現した。「とても楽しめた」。1年前に準決勝で敗れた相手。リベンジのために隠していた作戦がズバリと決まり、2連覇を狙う強豪を手玉にとるようにトライを決めていった。

 その作戦も、ここまで積み上げてきた努力の成果でもあった。2年前の選抜大会、東海大仰星に敗れた原因はコンタクトの差だった。選手は自主的に週に2回、朝7時半から約40分間、ウエートトレーニングに励んだ。永富は体重がここ2年で10キロ増え、70キロが精いっぱいだったベンチプレスも120キロが上がるようになった。古川主将も「FW陣も頑張ってくれたこともあって思い通りにパスが回せた」。コンタクトの強さがなければ「秘密兵器」も通用しなかった。

 優勝した選抜大会(準決勝)で唯一2点差と辛勝した相手を大差で破った。1984年度(昭59)64回大会で初出場。その2大会後で初勝利を収めてから通算花園60勝。藤田雄一郎監督(42)は「2年連続して4強に入ったということは、今までやってきたことが間違いなかったということ。あと2試合、選手のプレーを見ることが楽しみ」と頂点を意識した。準決勝の相手は、2大会連続で勝利している尾道に決まった。選抜大会、7人制に次ぐ今季3冠へ。大きな山を乗り越えた東福岡に敵はいない。【浦田由紀夫】