日本(世界ランク13位)が過去5勝12敗のサモア(同12位)に勝利し、前回19年日本大会に続く8強入りに王手をかけた。3トライ3ペナルティゴールで勝ち点4を加え、D組2位に浮上した。

緊急事態を全員で乗り越えた。2日前に先発が発表されていたSH流大が、故障で当日に欠場が決定。控えから斎藤直人(ともに東京サントリーサンゴリアス)が先発に繰り上がった。「相手はフィジカルを前面に出してくる。チャンスを逃さずに攻撃できるか」。前日に誓った通り、斎藤は持ち味のフィットネスを生かし、早いテンポを作った。

前半13分、今大会初先発のFBレメキ・ロマノラバ(NECグリーンロケッツ東葛)が左サイドを突破。内側へ折り返したパスを、フランカーのピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)がタックルを受けながら左手を伸ばし、先制トライを挙げた。4点差に迫られた同28分にはSO松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)がPG成功。すかさず10-3と引き離した。

相手SHタウマテイネのシンビン(10分間の一時退場)で数的優位となった同32分には、理想的な攻撃が出た。SH斎藤の素早い球出しから、最後はSO松田の2人飛ばしのパスを左大外で受けたフランカーのリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)がトライ。フッカー堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)がシンビンとなるピンチ、モールを押し込まれる場面もありながら、前半を17-8で折り返した。

後半に入っても先手を取った。8分、ゴール前右5メートルからモールを押し込み、NO8姫野和樹主将(トヨタヴェルブリッツ)がトライ。22-8とリードを広げて、主導権を譲らず、松田のPGで加点した。危険なタックルで退場者を出し1人少なくなったサモアも粘る。個人の強さをみせ後半25分と終了間際にトライを奪ったが、日本も粘り強い守りで逃げ切った。試合後の会場には、長渕剛の「乾杯」が流れ勝利を祝った。

リーチ・マイケルは「チームとしてこの勝利は大きい。(サモアは)FWにパワーがあった」と振り返り、1次リーグ最終戦に向け「勝って、自信がついた。次の試合は負けられないので、準備して頑張りたい」。主将姫野は「本当にタフなゲームになりましたね。みんなを誇りに思う。ホッとした。勝つプランニングがあったので、みんなが100%、役割を理解して遂行してくれた」とうなずいた。

次戦は10月8日、ナントで運命のアルゼンチン(同9位)戦を迎える。勝利すれば自力で2大会連続の8強進出が決定。勢いに乗って、強敵をのみ込む。