横綱朝青龍(28=高砂)が「モンゴル大統領」を目指していることが25日、分かった。元特等床山床寿の日向端隆寿氏に構想を明かしたもので、30歳まで現役を続けた後、早ければ2012年の国会議員選に出馬し、大統領選挙で夢を実現させるつもりだ。この日の優勝インタビューではモンゴル語でもあいさつ。復活優勝で第2次黄金時代を築き、母国での人気と知名度をキープして、最終目標の政界進出に勢いづける腹づもりだ。

 涙の復活優勝にの裏側に、朝青龍の「壮大な夢」が秘められていた。場所前に元特等床山床寿の日向端隆寿氏に胸の内を明かしていた。「オレはモンゴルの大統領になりますよ」。日向端氏は「日本国籍を取得して、1度親方になって箔(はく)を付けて、お金も貯めてからがいい」と勧めているが、現段階では大統領選出馬を目指し、モンゴル国籍を貫く意向のようだ。

 会場での優勝インタビューではモンゴル語でも「まだまだ頑張ります」とあいさつした。国技館に応援に駆け付けたモンゴル人、そしてテレビ観戦している母国の大衆に復活を訴えた。国民に愛されなければ大統領にはなれない。近い関係者が言う。「横綱のチンギスハンへの思いはすごいものがある。だからこそ、将来は国のトップに立つ思いも相当強いんです」。

 23回の優勝を誇る横綱でありながら、母国では既に大実業家の一面も持つ。表向きは、親族が経営中だが、銀行も含めた財閥「ASAグループ」の形成に尽力し、既に政界への強い影響力も持っている。昨夏の総選挙では与党の勝利に反する野党支持者が、暴動を起こしたが、朝青龍は与野党双方の首脳と信頼関係を築いているという。

 23度優勝という実績から考えても、日本国籍を取得すれば親方として角界でも地位は築ける。しかし、かつてモンゴル人力士のパイオニア、旭天鵬が日本国籍を取得するや、大半の国民は「国を捨てた」と非難。白鵬が07年に妻紗代子さんと結婚した際も「日本人女性を選んだ」と反発されたという。朝青龍は「最終目標」を見据えて、母国民の感情に配慮して、モンゴル国籍に執着している。

 昨年12月に次兄スミヤバザル氏が首都ウランバートル市議会議員選挙に当選。一報を聞いた朝青龍は「オレも選挙に出ようかな」ともらしていた。近い関係者は「3年後(12年)の総選挙は念頭にあるはず」と話す。本人も「30歳までは現役でやりたい」と話している。政界進出のため現役横綱として人気と知名度をキープし続ける決意。4年ごとで、今年も行われる大統領選挙は立候補者は「国会議員」に限られる。朝青龍の夢は、大統領へとつながる。