<オール早慶戦:オール慶大10-5オール早大>◇23日◇甲子園

 早大・斎藤佑樹投手(3年=早実)が、甲子園で再び覚醒(かくせい)した。23日、53年ぶりに甲子園で行われたオール早慶戦の9回から登板し、最速146キロで3者連続三振に打ち取った。日本一に輝いた06年夏、楽天田中を擁した駒大苫小牧(北海道)との延長再試合以来、1190日ぶりの登板だった。早大の第100代主将として、背番号「10」も初披露。ドラフトイヤーを前に、今季最終戦を最高の形で締めくくった。

 西日がかかった秋の甲子園に、斎藤が帰ってきた。9回、2万人のファンの大声援に後押しされ、3年ぶりの感触を確かめるように黒土のマウンドに立った。前日はプロ相手に1失点したが、格の違いを見せつける。先頭打者の原子を146キロで空振り三振に切ると、松本はスライダー、青山は140キロの直球で見逃し三振に打ち取った。「今日は甲子園がくれたパワーだと思う」と、確かな輝きを取り戻した。

 青いハンカチとさわやかな笑顔、7試合948球を投げ抜いた強靱(きょうじん)なスタミナで一躍スターになった06年夏。「自分を育ててくれた、斎藤佑樹という一選手を作り上げてくれた球場」と感謝した。決勝再試合は最後の打者、楽天田中を空振り三振に切って両手を突き上げた。1190日ぶりの甲子園は、“4者連続三振”で締めくくった。

 試合前のベンチで、応武篤良監督(53)から白いハンカチを差し出された。冗談めかして顔をふく指揮官を見て、苦笑いを浮かべた。青いトレードマークは「実家にあると思う」。尻のポケットにハンカチはなくても、マウンドの感触が当時を思い出させてくれた。「とても投げやすい。神宮とかいろいろな球場で投げさせてもらっているけど、結果的に一番いいマウンドなんだと思う」とかみしめた。

 第100代主将として、背番号「10」の姿を初披露した。前夜のプロアマ戦後に大阪入りする強行スケジュールの中、3者連続三振。「あわよくば、とは思ってました。2ストライクになってからは狙った」と手応えを感じた。応武監督は「原点に返ったんでしょう。斎藤復活の兆しが見えた」と喜んだ。

 次回、甲子園で投げる時は、どこのユニホームを着ているのだろうか。リーグ戦で敗れて泣いた3年秋。最後の実戦は、大学ラストイヤーへつながる11球で締めた。【前田祐輔】