天は二物を与えず。その言葉にどれだけ、救われてきただろうか。自分には特に秀でた才能はないが、現実は違う。すごい人は、いるものだ。楽天のドラフト4位菅原秀投手(22=大体大)は、まさにその1人。150キロを超える直球に、鋭く曲がるスライダーが武器と言われる。即戦力のリリーバーと期待される183センチ右腕の将来が、楽しみでならない。言葉以上のポテンシャルを彼は秘めている。

 菅原 大学の2年の途中から3年までは野球をやっていないです。何か嫌になってしまって。だから1年間以上は野球やっていないですね。

 1月に行われた新人合同自主トレで聞いた言葉が、忘れられない。プロ入りを目指す選手は毎日、何時間も鍛錬を積んでいる。菅原は違う。通常であれば、大学4年のところ、“飛び級”の3年で卒業したとも言える。

 小学6年までは、サッカーに打ち込んでいた。地元のユースチームからスカウトされるほどで、将来を嘱望されていた。自身もJリーガーになることを夢見ていた。「どっちかは忘れたんですが、足をけがして」。中学入学と同時に始めた野球でも才能を開花させ、鮮やかにプロ選手となってみせた。一時は野球とは離れていたが、今は違う。「投げることが大好きなので。早く1軍の舞台に立ちたい」と久米島春季1軍キャンプで汗を流す日々。伸びしろたっぷりの逸材に、今後も注目していきたい。【楽天担当=栗田尚樹】