3年連続出場の稚内大谷が、鵡川を7-3で下し、20年ぶり4度目の4強入り。スタメンに並ぶ幼なじみ5人が、投打に大暴れした。投げてはエース左腕、正岡翔也(2年)が2戦連続完投。攻撃では1回に佐々木悠人(はると)捕手(2年)が先制適時打、同点の7回には4番北崎弘也一塁手(2年)が勝ち越しの2点三塁打を放った。今日6日は休養日。明日7日に準決勝2試合が行われる。

 3-3で迎えた7回1死一、三塁。「お前を、信じてる」。本間敬三監督(32)の言葉に、背番号3は奮い立った。前日4日の2回戦から7打席連続無安打だった4番北崎は「不調なのに4番で使ってくれて、うれしかった。強い気持ちで打席に立った」。高めに抜けた変化球を、逃さなかった。フルスイングで捉えた打球は、中堅手の頭上を軽々と越える、勝ち越しの2点三塁打。自信を取り戻す一撃に、力強くガッツポーズした。

 1回に先制適時打を放った佐々木から始まり、2安打1打点の上川原丈登遊撃手(2年)、エース正岡、福田悠太中堅手(2年)と、この日3~7番に並んだ5人が、野球を始めた小学校低学年から同じチームでプレーする。稚内潮見が丘中3年時には、全日本少年軟式野球大会にも出場。全国舞台を経験したことで「高校では名寄から甲子園を目指そう」が合言葉に。それぞれ札幌や旭川の強豪校からの誘いを断って、地元の稚内大谷に進学した。

 自宅も全員徒歩圏内で、小学生の頃から登下校はいつも一緒だ。2戦連続完投のエース左腕、正岡は「信じ合っているみんなと甲子園へ行けたら楽しいはず」。守備の乱れで追い付かれた6回2死一、三塁、右打者へのクロスファイアがズバッと決まり見逃し三振に。2日連投ながら、156球を投げきった。

 チームにとっては20年ぶりの4強入りで、優勝すれば来春のセンバツ出場がぐっと近づく。「このチャンスを逃したくない」と正岡。日本最北端から目指す夢の実現まで、あと2勝。【中島宙恵】