高校野球の今春センバツに出場した東北(宮城)に期待の新入生18人が入部し、8日に始業式を迎えた。中でも秋田県から入学した福嶋悠人(1年)は、昨夏の中学総体県大会で優勝投手となった最速138キロ右腕。チームの目標「打倒・仙台育英」を実現し、「東北」王国を再び強固なものにするため、金の卵の成長に期待がかかる。

 真っ白なユニホームを土で汚しながら、がむしゃらに声を出して練習に励むルーキーたち。その中に、身長180センチと恵まれた体格の福嶋の姿もあった。

 秋田・稲川中でエースで主将だった昨夏、中学総体県大会で登板した全4試合で完封勝利を挙げ、チームの初優勝に貢献。大きく曲がるスライダー、カーブに、直球は最速138キロを計測した逸材だ。東北高がある仙台市泉区に住む親類の紹介と、OBのダルビッシュ(日本ハム)にあこがれて入部を決意。バスケットボール部に兄将人さん(3年)がいる青森山田や、日大山形など強豪校にもスカウトされたが「部員1人1人が元気で、自分の理想に近かった」と、同校の門をたたいた。親元を離れて6日に入寮したばかりで「早く環境に慣れたい」と意気込む。

 東北は春夏通算38回(春18、夏20)の甲子園出場を誇る。29回(春9、夏20)の仙台育英と、宮城の両雄として、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。しかし05年を最後に、夏の選手権は仙台育英にその座を明け渡している。五十嵐征彦監督(32)も「夏こそはという思いはある。それには育英さんに勝たないと。今年は足の速い子をそろえた」と、将来性のある新戦力を鍛え上げ、チームの強化に乗り出す考えだ。

 早くも19日から県の地区予選が始まる。仙台育英には、OBのヤクルト佐藤由規の弟で、こちらも最速138キロを誇る貴規(1年)が入部。いずれは投げ合うことが予想される同世代のライバルだが、福嶋は「まずは礼儀をしっかり覚えて、チームの団結力を高めたい。それからライバル校に勝って、甲子園でも勝ちたい」と、頼もしい口調で語った。【由本裕貴】