セットクローザーになる! 広島中崎翔太投手(23)が15日、契約更改に臨み、1750万円から2・4倍増の年俸4200万円でサインした。今季抑えとしてチームトップ69試合に登板し、0勝6敗29セーブ、防御率2・34。大幅アップにも、若き守護神が目指す目標は高い。セットアッパーも兼務する心意気で、シーズン無敗を目指す。(金額は推定)

 中崎はシーズン途中から任された抑えとして投げ抜いた働きを十分に評価された。大幅アップで納得のサインにも、描く理想像はさらに高い。

 「9回を投げるだけが抑えじゃない。8回、9回を投げられれば、すごくチームのためになる」

 投手の分業制が明確となった近年、抑えは最終回1イニング限定とする形が主流となっている。今季広島は中崎をクローザー、確立できなかったセットアッパーには先発から大瀬良を転向させた。来季は大瀬良の先発再転向もあり、新外国人を含めた新しいユニットの形成が求められる。

 セットアッパーとクローザーの兼務は非常に難しい。それでも夢物語で終わらせるつもりはない。

 「キャンプでの球数を増やしたい。イニングが変わった1球目から全力でいけるようにしたい」。今季、複数回を投げた試合は9試合。うち2試合で敗戦投手となった。オフから複数イニングをこなせるタフな体をつくり上げていく。

 球団から高く評価された一方、注文を付けられたのは敗戦数。「僕の6敗がなければ、首位に近い位置にいられた。負けゼロを目標にしたい」。負け試合を勝ち試合に換算すれば、広島は優勝していたことになる。勝敗に大きくかかわるポジションと自覚しているからこそ、シーズン無敗を目指す。

 来季は中継ぎの投手キャプテンに指名され、背番号が56から21に変わる。鈴木本部長は「中崎が信頼を置ける抑えになれば心強い」と期待する。中継ぎには新しい外国人を補強する見込み。助っ人をセットアッパーに追いやる存在感がチーム力の底上げにつながる。「僕自身が不安になれば、チームも不安になる。常にゼロ(無失点)を目指したい」。絶対的守護神として、チームを頂点に導く。【前原淳】