自慢のストレートが、甲子園でうなりをあげた。阪神石崎剛投手(25)が、6回のピンチをオール直球勝負で乗り切った。6回1死一、二塁。先発横山を救援し、大砲ビシエドと相対した。

 「絶対に負けない! という気持ちで1球1球投げました」。全5球直球勝負で空振り三振に斬った。熱い気持ちだけでなく、冷静に自分を見つめてもいた。ビシエドへの1、2球目は連続でボール。「1、2球目は力みがあった。肩に力が入っているのが自分で分かっていたので、冷静になれた」。3球目の150キロ直球でバットに空を切らせ、149キロ直球でファウルを打たせると、最後も148キロの速球。リーグトップ13本塁打のビシエドを空振り三振に仕留めると、続くナニータも直球勝負で一ゴロに打ち取った。

 7回も3人を完全に抑え、先発横山との新日鉄住金鹿島リレーで中盤のヤマ場を制圧。体調面への配慮で、この日はマテオもドリスも不在。限られた駒をどう使うか。制球が狂えば1発を食らい、2点リードも吹き飛びかねない場面で、ベンチは経験の少ない石崎を投入。金本監督は「勇気はいりましたが、香田コーチの推薦があった。石崎の若い力に頼って、エイヤーでいってほしい場面でエイヤーでいってくれて気持ちよかった」と最速152キロもマークしたプロ2年生をねぎらった。

 役目を果たし、横山と見守った試合の終盤。最後を締めたのは藤川球児。「ずっとあこがれていた球児さんが最後投げてくれて、すごく感動しています」。石崎にも快速球がある。自慢の速球を携えて、藤川に続く道を歩く。【堀まどか】