粘着質なタクトが効いた。日本ハム栗山英樹監督(55)が、ギャンブル策を不動心で敢行した。3回までに3点リードした以降は、無得点の6回。1死一、三塁で、勝負手を繰り出した。打者市川と2走者に送ったサインは初球からセーフティースクイズ。1球目をファウルで失敗しても、続けた。その後、3球連続でボール。すべて構えはバント。DeNA側から明らかに察知されていても、初志貫徹した。
カウント3-1からの5球目。市川が一塁前へ転がした。成就させて指揮官は「オレっぽいよね。オレっぽい」と自画自賛の采配で、終盤の1点を追加した。この場面は次打者が投手の有原。相手ベンチが満塁策を選ぶ可能性があっても、ひるまなかった。「イチ(市川)が自分1人でしか勝負できない場面、よく決めてくれた」。任務を完遂した兵をたたえた。今季ワーストのチーム15三振を喫しただけに、価値あるベンチワークだった。
初めての新潟での采配。現役引退した90年に試合前、思いをはせていた。ヤクルトでの現役時代。ハードオフ新潟にほど近い、鳥屋野球場で外野守備の際にフェンスに激突。負傷交代した。「それが引退のきっかけになったんだよな」。過去のトラウマを回想した。全力プレーが売りで、ガムシャラだった当時。乗り移ったかのようだった。信じたセーフティースクイズという難しい選択をして貫き、打破した。「いつか必ず連勝できる」。反攻の芽を感じた、新潟の夜になった。【高山通史】



