阪神高山俊外野手(23)が、球団の新人最多記録に並ぶ今季11度目の猛打賞をマークした。1回に右前打、2回に中前打、3回には右前打。いずれも得点に絡む活躍だった。チームも新人のバットに呼応し、今季2度目の先発全員安打を記録するなど14安打9得点。3位DeNAとの差を2・5ゲームに詰めた。

 3試合連続6度目のスタメン3番。高山は「今日は試合前から先制するぞと言われていましたし、1打席目にかけていました」と納得顔で言う。まさに主軸の頼もしさだ。

 初回だ。初球直球を振り抜いた。痛烈な打球が右前に弾む。好機を広げ大量5点先制につなげた。金本監督も「立ち上がりの攻め方としては理想的な攻撃をしてくれた。初球で一、三塁にしてくれた。あれが大きかった」と、高山の活躍をピックアップし称賛だ。

 まだまだ終わらない。2回先頭で中前打を放つと、3回にも右前打。球団の新人記録に並ぶシーズン11度目の猛打賞を記録し「いいことだと思います。また次できればいいですね」。涼しい顔で振り返った。

 「この世界に入って、やっぱりすごい方なんだなと。ないですね。自分が勝ってるところなんて。何一つないですよ」と話したことがある。目の前に大きな目標がいる。4番を務める福留だ。同じ右投げ左打ちの外野手。練習や私生活など、どんな場面でもアドバイスを積極的にもらいにいく姿勢が目立つ。「孝介さんのような選手になれればと思っているんで。毎日のように勉強させてもらっていますね」。新人11度目の猛打賞は、福留も記録している。身近にいる大きな手本が、ゴールデンルーキーの成長を加速させている。

 CSを争う3位DeNAとの直接対決3連戦。9得点の大勝で初戦を制し、ゲーム差を2・5とした。高山の3安打がチーム今季2度目の先発全員安打の猛攻を呼び込んだ。「上位にいるチームなんで必死に食らいついていきたいです」。高山自身、新人王のタイトルも視野に入るが、個人の記録よりまずは目先の勝利しか脳裏にない。鋭いまなざしで今日24日の第2ラウンドに目を向けていた。【梶本長之】

 ▼高山が今季11度目の猛打賞(3安打以上)。2リーグ制後、新人で11度以上は10年長野(巨人=13度)以来12人目で、阪神では98年坪井に並ぶ最多タイ。大学から直接入団した新人では58年長嶋(巨人)以来58年ぶり。過去11人のうち5人が新人王を獲得しているが、高山はどうか。