ついに首位奪取! 日本ハム中田翔内野手(27)が先制打を含む2打点で首位浮上に導いた。1回2死二塁から、チーム5試合連続の初回得点となる左前への先制適時打。3回にも適時二塁打を放ち、西武メヒアと並んでいた打点をリーグ最多の86まで伸ばした。ソフトバンクが敗れ、最大11・5ゲーム差をひっくり返して今季初の首位に立った。

 QVCマリン特有の強風が、中田に味方してくれた。1回2死二塁。大谷が凡退した直後の好機で、4番の打球は約4メートルの風に戻されて左中間へポトリと落ちる先制適時打になった。「いいところに落ちた。それだけ」。中田は3回にも左翼線へ適時二塁打を放ち、チームを勝利に導いた。そして試合終了から56分後にソフトバンクが敗れ、115試合目で初めて首位に立った。最大11・5ゲーム差をひっくり返した。

 激しい首位争いについて、中田は「楽しみながらやれればいいけど、そんな軽い言葉で済ませてほしくないね。みんなプレッシャーの中で一生懸命やっている」と言う。今季はなかなか調子が上がらない。イライラが募ることもあった。そんな時、金子打撃コーチに助言を受けた。「やるか、やらないか。形じゃなく、内容じゃなく、バットに当たって結果が出るか。ふん詰まりでもいい」と。

 これで吹っ切れた。中田は言う。「いい打撃をしたって、ヒットが打てるわけやない。いいスイングしたって、アウトになったら一緒。打つか、打たないか」。目指すはチームの勝利だけ。本塁打は15試合連続で出ていないが、打点はリーグトップの86。豪快な打撃は影を潜めても「1打席、1打席、新たな気持ちで打席に入っている」。凡打を繰り返しても、引きずらない。最後に勝てばいい。その思いでバットを振っている。

 マイナス0・5ゲーム差の2位から、一気に1・5ゲーム差をつけての首位に躍り出た。だが、栗山監督は順位に関心を示さない。「それは、ウチは関係ない。勝ちきるだけ」。内容は問わない。勝利だけが日々の命題だ。主砲の中田については「ここから苦しくなる。やってくれると信じている」と強い信頼感を口にした。大逆転優勝へ。このまま最後まで走り抜ける。【木下大輔】

 ▼日本ハムは早ければ27日にもマジックが点灯する。日本ハムが26、27日の西武戦に○○、ソフトバンクがロッテ戦に●●でM24が出る。ソフトバンクのM点灯は最短で28日。

 ▼日本ハムが115試合目で今季初めて首位に立った。シーズン初首位がこんなに遅かったのは08年9月21日巨人の131試合目以来で、パ・リーグでは01年9月14日西武の129試合目以来、15年ぶりになる。日本ハムは6月24日の時点で首位ソフトバンクから11・5ゲーム差の3位。11・5ゲーム差以上を逆転して首位に立つのは08年巨人(13差)以来6度目となり、日本ハムでは東映時代の61年の10ゲームを上回る最大差逆転首位だ。2桁ゲーム差をはね返した首位は過去に14度あるが、そのまま優勝したのは6度だけ。V逸の方が多いが、日本ハムはどうか。