日本ハム栗山英樹監督(55)が来季続投することが29日、分かった。今季は1年契約だったが、球団内で最終的な意見調整が完了。シーズン終了後にも正式に打診し、同監督も受諾することが確実だ。今季は首位ソフトバンクに最大11・5ゲーム差と離されたが、猛追。現在はマイナス0・5ゲーム差の2位で優勝争いするなど、卓越した手腕が評価された。来季6年目で、04年の本拠地移転後は最長政権の指揮官になる。

 日本ハムが永続的な常勝球団の構築へ向け、来季構想の基本軸を固めた。栗山監督へ17年シーズンも指揮権を託すことが、分かった。1年契約だが、今季終了後にも正式に契約更新を要請する見込み。同監督も続投に支障はなく、受諾は決定的な情勢だ。現在は首位ソフトバンクとマイナス0・5ゲーム差で優勝争いを展開。ミラクル逆転Vを狙う中で、球団は水面下で方向性を打ち出した。

 必然の結論になる。就任5年目の今季は開幕から波に乗れず、6月には首位ソフトバンクに最大で11・5ゲーム差をつけられた。6月下旬から球団新の15連勝を飾るなど驚異の追い上げ。25日には今季初の首位に立つなど、マッチレースへ持ち込んだ。選手個々の特性、個性を把握した操縦で進撃を導いた。

 球界の慣例や常識にとらわれない独創的な戦略で今季、突き進んできた。象徴的なのは「二刀流」の大谷の起用。投手で登板時にDHを解除して、打順にも組み込む「リアル二刀流」など数々の妙手を繰り出してきた。7月3日ソフトバンク戦では「1番・投手」で先発出場させ、先頭打者本塁打。昨季39セーブの守護神・増井を、先発へ配置転換するなど斬新な成功例を生み出した。斬新さゆえ、時に批判を受けながらも大胆な選手登用を貫いた。

 北海道へ本拠地を移転した04年以降、最長政権となる。東京ドームに拠点を置いた03年を含めて5年間、指揮したトレイ・ヒルマン元監督(53=米アストロズ・ベンチコーチ)を超えることになった。栗山監督は就任1年目の12年にパ制覇。翌13年は最下位に沈んだが、今季4度目のAクラス確保は確実な状況。世代交代を図りながら、安定したチームマネジメントを実践してきた。自身の去就には「オレが決めることじゃない」が信念だが、来季も最前線に立つことになった。まずは残り25試合に集中し、4年ぶりのペナント奪還に全精力を注ぐ。

 <栗山監督今季の独創采配>

 ◆9番陽岱鋼 1、3番など打順上位が定位置で8月6日時点で打率リーグ2位の3割3厘だった陽を、同6、7日ソフトバンク戦、9日西武戦の3試合で9番起用。監督就任後の陽9番は12年に1試合あるだけで4年ぶり。

 ◆先発中継ぎ併用 外国人投手バースは27試合に登板。内訳は先発13試合、中継ぎ14試合。開幕から先発7戦→中継ぎ4戦→先発3戦→中継ぎ10戦→先発3戦と、2通りの役割を課している。

 ◆早大バッテリー ソフトボール出身で5年目の大嶋を、6月29日西武戦で「8番・捕手」でスタメン起用。先発は斎藤。4年目までは14年に代打出場が1試合あるだけで初めての本職出場が、早大の先輩とのバッテリーだった。