新たな目標へ、巨人が完璧なリスタートを切った。前夜は広島に優勝を目の前で決められ、2年連続でリーグ制覇を逃した。その鬱憤(うっぷん)を晴らすべく、先発野手全員安打の12安打8得点。投手陣も無失点リレーで王者を圧倒した。高橋由伸監督(41)は「とにかく2位で(CS進出)と思っています。昨日ああいう形になりましたけど、選手が次の目標に向かって気持ちも切り替えてくれた」と目を細めた。

 「2番亀井」が潤滑油になった。3回1死二塁では左前打でつなぎ、坂本の先制犠飛を演出。7回は長野の1発直後の左前打で、この回からプロ初登板の広島塹江の動揺を増幅させ、打者10人6得点の猛攻をアシストした。2番の任務を忠実に遂行し「しっかりクリーンアップにつなぐことを意識した」と納得の表情だ。

 「2番固定」はCSまでに解消したい課題の1つだ。ここまで昨季より3人増の10人が2番を務めたが、坂本以降の主軸につなぐ重責をこなせず、得点が伸び悩む一因にもなった。そんな時、亀井が下半身の状態不良から回復して、2日に2カ月半ぶりに昇格。8日阪神戦から4試合連続で2番に座り19打数7安打。高橋監督も「つなぐこと、チャンスを広げること、いろいろな意味で亀井が頑張ってくれている。このまま最後までやってくれればと思います」と期待した。

 指揮官の思いに、亀井も呼応する。「(V逸の)悔しさもあるし、その分(CS)ファーストステージを勝ち上がって(広島に)やり返さないといけない」と気勢を上げた。投手陣でも中継ぎだった高木が先発で好投し、起用法の幅を広げた。残り14試合。2位確定はもちろん、その先の「逆転日本一」という大願成就まで、実りの秋にする。【浜本卓也】