速球派の神髄、受け継ぎます! 阪神藤浪晋太郎投手(22)は、福原の現役引退を受け、大先輩の剛腕スタイルを継承する決意だ。日ごろからフォーム修正などの際に助言をもらっていた恩人。これまでのサポートに心から感謝し、速球派の理想像を追い求めていく。

 どれだけ助けてもらったのかは、心から寂しそうな表情を見ればすぐ分かる。福原引退-。藤浪は甲子園室内練習場で練習を終えた直後、直立不動で胸中を語り始めた。

 「本当にお世話になった先輩なので。ロッカーも隣で、いろんなアドバイスをいただいた。キャッチボールを見て、何げないところでも、こうした方がいいと教えてもらったり。間の取り方とか、いろいろ教えていただいて。寂しいです」

 どん底から救い出してもらった恩人でもある。昨春、4月から5月にかけて藤浪は6戦連続で白星から遠ざかっていた。この期間、親身になってフォーム修正に力を貸してくれた先輩が他ならぬ福原だった。「グッと胸を張って上からたたく。そういうイメージで投げてみたらどう?」。この助言をベースに形を作り上げ、力みなくキレのある直球を取り戻した。5月中旬以降の快進撃、昨季14勝は大先輩の存在なくして語れない。

 「こういうことをやっていかないといけない、とか言われることもあった。厳しくも優しい方なので」

 タイプで言えば同じ剛腕スタイルのくくり。福原は30歳後半に入っても、150キロに迫る直球で強打者たちを押し込み続けてきた。自己最速160キロを計測しても思うような結果を残せなかった今季、あらためてすごみを実感する。

 「引退するまでストレート勝負することはなかなかできない。速球派投手のあこがれ、じゃないですけど、理想だと思います」

 もちろん、恩返しの気持ちを表現する舞台はマウンドしかない。上から右腕を振り下ろし、スピンのかかった剛速球を打者の手元で浮き上がらせる。これからもずっと、その背中を追いかける。【佐井陽介】