日本ハムが鉄壁の継投で、サヨナラ勝利をたぐり寄せた。7回途中からマウンドに上がった2番手の石井以降の5投手で、楽天打線をわずか1安打に抑え込む快投リレー。延長10回には、前日24日に右足首を負傷した宮西が、痛みが残る中で3者凡退に抑え、劇的勝利へつなげた。残り4試合で優勝マジック「3」。強力なブルペン陣が一致団結し、大逆転優勝へチームを導く。

 ブルペン陣のリーダーはサヨナラ勝利の興奮が渦巻くグラウンドで、右足を引きずりながら大声援に応えていた。前日24日に右足首を痛めていた宮西は患部にアイシングを施し、包帯をグルグル巻き。「痛いって言っても知れている。たいしてね、そんなに。大丈夫です」。右足だけサンダルを履き、札幌ドームでの勝利後の恒例、歓喜に沸くスタンドへゆっくりとサインボールを投げ込んだ。

 ユニホームを脱ぐ先輩にささげる投球だった。延長10回、宮西はマウンドに上がった。1球投げるごとに、表情がゆがむ。患部に痛みが走りながらも、必死の形相で3者凡退。頭の片隅には、現役引退を決めた武田勝がいた。「投げたくても投げられない人がいる。自分は投げられる環境にある。一生懸命、投げようと思っていた」。万全でなくても、任された仕事を果たすことだけを考えていた。

 チーム全員の優勝への思いも背負っていた。「(先発の)高梨も石井さんもバースも谷元さんも鍵谷も、バッターも何とか1点取ろうと。本当にみんなの思いだと思う」。7回途中から登板した石井を始めとして中継ぎ陣が勝利のタスキをつなぎ続けた。延長11回を投げた鍵谷は「ミヤさん(宮西)が足が痛いのは分かっていた。あそこで気合が入った」。リリーフ陣は気持ちを全面に出した鉄腕左腕を中心に、無失点リレーで締めくくった。

 栗山監督が絶対的に自信を持つブルペン陣の活躍で、優勝マジックは「3」となった。指揮官は「接戦に持ち込むのがウチの形。こういう時に何が大事か。最後は魂。ミヤ(宮西)が示してくれている」と、敬意を示した。残り4試合、大逆転Vまで、あと少し。「監督が止めるまでは欠場しない」と、覚悟を示す宮西を中心に、中継ぎ陣が歓喜の瞬間までフル回転する。【木下大輔】

 ▼日本ハムがシーズン84勝目を挙げ、61年の前身東映時代にマークした83勝を上回る球団最多となった。貯金32は今季最多で61年以来、55年ぶり。