来季はセットアッパー能見!? 阪神金本知憲監督(48)が、逆襲の2年目へ秘策をテストした。中日に2点リードの7回2死、能見篤史投手(37)を投入。今季泣きどころだった左腕リリーバー不足を解消すべく、適性をチェックした。同じく先発スタッフだった岩崎も含め、残り3試合でもテストする方針。中日に快勝した阪神は今季5位以上が確定した。

 「ピッチャー、安藤に代わりまして能見」。聞き慣れない場内アナウンスに左翼虎ファンがどよめいた。2点差に迫られて迎えた7回2死。中日が左の代打森野を告げると金本監督もベンチを出た。今季先発で24試合に登板したベテラン左腕の救援登板。捕手も相性がいい坂本に代える鉄板舞台を整え、来季優勝に向けた秘策テストが実行された。

 金本監督 最近先発が長いイニングを投げててチャンスがなかった。うれしい悩みだけどね。右が来ても大丈夫な左が欲しいから。

 今季は勝利の方程式が最後まで弱く、固定できなかった。2年連続セーブ王だった呉昇桓の代役マテオが不安定。2年連続ホールド王だった福原も4月に降格し、藤川にも全盛期の球威はなかった。ドリスも故障を抱えながらの1、2軍往復。左腕高橋も絶対抑えて欲しい左打者に4発を浴びるなど安定感を欠き、特に前半戦は終盤逆転されるケースが目立った。

 勝利の方程式再構築は大きな課題。金本監督は先発で3年連続最多敗戦の可能性がある能見の適性を見直した。「三振を取れるからね」。この日も最速147キロを計時した真っすぐとフォークは最大の武器。1イニングならもっと爆発力を増す可能性がある。17日のDeNA戦先発を最後にブルペン待機。同じ日、プロ3年46試合目で初の救援登板を命じ、1回を0封した岩崎とともにセットアッパーテストを継続していく。

 金本監督 能見と岩崎の2人もあり得るかも。でも、それだと先発が足りなくなるかもしれないから、どっちか(1人)だろうね。

 香田投手コーチ 可能性を探っているところです。

 能見は森野に初球を中前に運ばれたが、続く大島は宝刀フォークで当てただけの投ゴロに料理。貫禄ピッチで、4位まで0・5差に迫る4連勝に貢献した37歳左腕は、涼しい顔だった。

 能見 1人なんで特に何もないですよ。僕は言われたところでしっかり投げられたらいいと思います。

 マテオやドリスの去就は現状未定で、勝利の方程式は白紙。そんな中、金本阪神は今季終了を待たずして勝負の2年目へ動きだした。新セットアッパーは能見か、岩崎か、それとも…。浮沈の命運を握る注目ポイントになる。【松井清員】

 ▼能見は昨季10月2日ヤクルト戦で延長10回から4番手で登板。12年10月5日ヤクルト戦以来、3年ぶりの救援だった。11回2死一、三塁で雄平にサヨナラ打を浴び、ヤクルトの優勝が決まった。同4日には最終戦の広島戦で6回に2番手でマウンドへ。しかし、田中に2ランを打たれ敗戦が決定的に。2試合連続の救援失点を記録した。