次は俺の番だ。プロ野球のドラフト会議が明日20日、東京都内で行われる。社会人野球の新日鉄住金かずさマジック・玉井大翔投手(24=東農大北海道)は8球団に調査書を提出し、指名を待つ。昨年までチームメートだった日本ハム加藤貴之投手(24)、大学同期のヤクルト風張蓮投手(23)、1学年後輩の日本ハム井口和朋投手(22)ら、先にプロ入りした仲間たちの背中を追いかける。

 社会人2年目の玉井にも、チャンスが訪れようとしている。調査書は8球団から届いた。大学時代もプロの注目を集めたが、志望届は提出せず「会社の期待を背負う分、勝たなきゃという思いがあり、プレッシャーがある」という社会人の世界に飛び込み、鍛えてきた。「そこ(プロ入り)を目標に関東に出てきたので、行きたいという思いがある」。待ちに待った運命の日を迎えようとしている。

 ともにプレーした戦友たちの活躍が刺激になっている。日本ハムでルーキーながら1軍に定着する左腕の加藤や井口の結果をチェックする。特に後輩だった井口に対し「真っすぐもスライダーもキレが違う。すごい良くなっている」と成長に感心する。高卒で社会人入りした加藤とは同い年で、テレビ電話をするなど親交を続け、励まし合う。

 いつも好投手のライバルがいる環境だった。旭川実高では3番手。最後の年、公式戦での登板はなかった。甲子園のベンチで終えた高校野球。「あそこで投げていたら満足していたと思う」。悔しさがあったからこそ、野球を続けてこられた。大学では高校時代からプロの注目を集めた風張と切磋琢磨(せっさたくま)。2枚看板としてチームをけん引した。

 準備は整っている。2シーズンでスケールアップ。体重は10キロ増の78キロ、最速は2キロアップし147キロになった。肩の動きを縦回転に修正することで直球の強さを追求。昨年の日本選手権1回戦(対JR九州)では5回1失点で勝ち投手となり、今夏の都市対抗も経験した。「社会人レベルのバッターでも真っすぐでファウルを取れるようになってきた」と、手応えも感じている。「1軍にずっといて息の長い選手になりたい」。長年の夢をかなえる。【保坂果那】

 ◆玉井大翔(たまい・たいしょう)1992年(平4)6月16日、佐呂間町生まれ。佐呂間小1年から佐呂間ライオンズで野球を始める。佐呂間中-旭川実-東農大北海道。大学1年春の開幕戦で無安打無得点を達成。全日本大学選手権は2度出場。4年時の明治神宮大会では4強。新日鉄住金かずさマジックでは15年日本選手権で1勝。今夏の都市対抗1回戦(対JR西日本)で先発し3回途中2失点(自責0)。家族は両親と姉、兄。178センチ、78キロ。右投げ右打ち。