巨人が19日、今日20日のドラフト会議で創価大の156キロ右腕、田中正義投手(4年)を1位指名することを公表した。即戦力投手の獲得を念頭に大学BIG3の桜美林大・佐々木、明大・柳の候補者から本命を田中に絞り込んだ。複数球団による大争奪戦は必至だが、堂々の公開ラブコールでNO・1右腕を手繰り寄せる。

 記者室に入るなり、堤GMは明言した。「明日は田中投手で行きます」。前日18日のスカウト会議では田中、佐々木、柳の3人を1位候補に示唆し、山下スカウト部長は「当日まで決まらない」と説明していた。だがドラフト前日となり、事態は一気に動いた。同GMは公表理由に「みんな聞きたいというから。こっちから積極的に言っているわけじゃない」と苦笑いした。もちろん戦略上、公言すれば及び腰になる他球団も出てくる。

 それだけ田中を射止める確率を少しでも高めたい。「うちのチームに必要になる1番の選手」。大学3年時から視線に熱が帯び始め、年初には「特Aランク」に位置付けた。今春の右肩故障もあり、慎重に調査を続けたが、秋季リーグの回復経過を見て、最終決断が下された。「いろんな情報があるにしても、野球選手として持っている能力は高い。競合しても何としても取りたい投手」と本気度を示した。

 高橋監督も公表前に堤GMから報告を受けた。昨年は監督就任直後ということもありドラフト会議出席を見合わせた。今日、初めて運命が交錯する舞台に臨む。報告前のこの日の秋季練習では験担ぎについて聞かれ「何もしないことが験担ぎ。初めてだから何をすれば験がいいかも分からない。初めてだし楽しみ。限られた人しか入れない場所だから」と自然体だった。運命のくじ引きについて、高橋監督も参加する当日の最終会議で決定する。編成トップの堤GMが大役を務める可能性が高いが、高橋監督の電撃参戦もある。

 今季は2年連続でリーグ優勝を逃し、5年ぶりにクライマックスシリーズファーストステージで敗退した。世代交代が急務なのは顕著だ。巨人再建への第1歩は正義に託す-。何としても運命のクジを引き当てる。【広重竜太郎】

 ◆巨人の主な指名表明 92年ドラフト直前、正力オーナーが松井秀喜(星稜)について具体名を出さないものの「今年の場合は決まっている。(高卒では最高額に)なるでしょう。くじは長嶋監督が引く」と事実上の表明。00年2月には末次編成部長が阿部慎之助(中大)について「指名は間違いない」と明言。09年には長野久義(ホンダ)の1位を2月5日にスピード表明。10年12月14日には、翌11年ドラフト対象の菅野智之(東海大)を球団史上最速で1位決定。菅野が日本ハム1位指名を拒否して浪人となった12年4月には、再度1位の方針を決めた。