出るか、黄金の右手! ソフトバンク工藤公康監督(53)が2年連続で「金の卵」を引き当てる。今日20日に都内で開催される「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、くじ引き役を務める予定だ。1位の最有力候補に、創価大・田中正義投手(4年=創価)が挙がっており、複数球団による競合は確実。昨年は3球団競合で高橋純平投手(19)の当たりくじをゲット。今年もその強運に期待がかかる。

 ペナントレースでは日本ハムの後塵(こうじん)を拝したが、ドラフト会議では今年も主役の座を奪う。工藤監督が逸材獲得の切り札だ。19日、都内で行われた編成会議に出席。スカウト陣の報告や戦略を聞いた。「みんなが見ているし、情報交換もしている。今年は投手が豊作なんでしょ?」。1位の最有力候補には、創価大・田中を挙げている。複数球団により、競合は必至。「右手で引くのか」と問われ、静かに返した。「それはまた明日」。

 昨年は3球団が競合した高橋のクジを引いた。残り福ではあったが、「真ん中、残れ」と念じた結果だった。今季もくじ引き役を務める。昨年同様に、「黄金の右」で金の卵をつかみ取りに行く可能性が高い。ソフトバンクでは、右手でクジを引くことが、もはや伝統とも言える。王球団会長が競合した寺原や大場、東浜の指名に成功。秋山前監督も同じ右手を使い、工藤監督も踏襲した。

 今季は3年連続日本一の大目標を果たせず、V奪還に向けて、再スタートを切る。ここ3年は1位で高校生を指名(13年は松井裕樹を外す)。松本や高橋ら将来性ある投手を確保したことで、今回は即戦力投手にも目を向けた。ずばぬけた能力を持つ田中を獲得し、投手力をさらに向上する方向だ。会議に出席した王球団会長は「目移りするぐらい多いので、今年は大変。12球団、悩んでいるんじゃないかな。運を天に任すしかない」と心境を語った。

 今季は千賀や東浜ら若手投手が「工藤塾」により、成長した。武田も安定した力を発揮し、ローテーションの軸を守った。ここに大型右腕の田中が加われば、覇権奪回の確率は上がる。2年連続の大仕事へ、強運の指揮官に期待がかかる。【田口真一郎】