自然体で赤ヘル打線に真っ向勝負を仕掛ける。日本ハム大谷翔平投手(22)が今日22日に開幕する「SMBC日本シリーズ2016」の第1戦(マツダスタジアム)に先発する。完全アウェーが予想される中でも「僕は僕のピッチングをするだけ」と、不動心を強調。DH制がないため「8番投手」で打線に組み込まれることが濃厚。今季8戦8勝と勝率100%のリアル二刀流で、鮮烈な日本シリーズ・デビューを飾る。

 柔和な表情で、落ち着き払っていた。日本シリーズ開幕前日。日が落ちて照明が入ったグラウンドを背に、大谷が淡々と言葉をつなげた。「緊張するかもしれないけど、いつも通りのパフォーマンスが出せれば」。続く言葉は、あえて言わなかった。敵地で迎える大一番。広島ファンで真っ赤に染まる、完全アウェー状態となりそうだが、「僕は僕のピッチングをするだけ。自分のやることは変わることはない」。自信がみなぎった。

 盛り上がる雰囲気を、力に変えるつもりだ。天然芝の屋外球場であるマツダスタジアムは「個人的には、すごい好きな球場」だという。本拠地は天候に左右されない札幌ドームだが、自然環境に左右されるような弱さはない。「球場の雰囲気がいい」と、普段は試合する機会が少ない球場だけに、モチベーションも上がっているようだ。

 プロ4年目で初めての日本シリーズ出場となる。記念すべき初戦は、大谷だからこそ価値のあるリアル二刀流で臨む。打順は8番が濃厚。相手先発のジョンソンとは今季、交流戦で対戦。第1打席で今季唯一の死球を食らい、第2打席は四球。第3打席は見逃し三振だった。「(結果が)フォアボールとデッドボールなので、あまり印象はない」と苦笑いも、現状の「状態は悪くない」。マウンド同様に自信を持って、打席にも入るつもりだ。

 21日はブルペンで23球を投げ、最終調整を終えた。やれる準備は尽くした。栗山監督は「できる限りを尽くして勝っているのが理想」と、今季最後の短期決戦への意気込みを吐露した。大谷も「何とか初戦を取れるように。いい(試合への)入りが出来れば」と、イメージを膨らませた。投打でフル回転するリアル二刀流では、CSも含めて今季は8戦8勝。3年前のルーキーイヤーに初めて「5番投手」でリアル二刀流を披露したマツダスタジアムで、新たな歴史を刻む。【木下大輔】

 ▼大谷が9番以外の打順を打てば、日本シリーズ先発投手では02年西武(第1戦で7番松坂、第2戦で8番石井)以来14年ぶりとなる。