堂上さん、勝負です! 中日にドラフト2位指名された日大・京田陽太内野手(22)が21日、都内の同大学で指名あいさつを受けた。中田スカウト部長から遊撃のレギュラー奪取指令を受けた。スピードと堅実な守備が評価されている京田は、堂上への挑戦に意欲的だった。巨人1位の吉川、阪神北條へのライバル宣言も飛び出した。

 日焼けした、京田の精悍(せいかん)なマスクに緊張の色が浮かんだ。中田スカウト部長、石井チーフスカウト、担当の正津スカウトと初対面。冒頭、中田部長がはっきりした口調で「非常に大きな期待をしている。遊撃で1年目からレギュラーをとってほしい」と伝えると、神妙にうなずいた。

 その後、報道陣に非公開になった会話では踏み込んだ話になったとみられる。中日の遊撃は堂上。球界屈指の安定感を誇る守備を武器に、今年初めて規定打席をクリアするなど、苦節10年で花開いた。来年もポジションは安泰と思われた。

 だが球団の思いは違う。ルーキーに堂上と真っ向勝負をさせる。「堂上さんは打撃の成績も残している。堂上さんや野手の皆さんに食らいついていきたい。盗むところは盗み、1つでもプラスになるようにやっていきたい」。謙虚に話したが、自分の立場をしっかりと受け止めている。

 中日の評価は「今年最高の遊撃手」だった。中田部長は「まず守備だね。しっかり捕って、投げられる。スピードがある。走れるし、打撃もこれから長打が出るようになると思う。スタメンで使えるものを持っている」と評した。

 同じアマトップ級の遊撃手として親交が深い、巨人1位の吉川とは前日に連絡を取り、健闘を誓い合った。7月の日米大学野球では吉川を二塁に回し、全試合で遊撃を守った。また、阪神には北條がいる。高校時代は北條の光星学院(現八戸学院光星)に甲子園への道を阻まれた。「自分は意識していた。向こうがどう思っているか。負けたくないです」。京田のチャレンジが始まる。【柏原誠】

<京田陽太(きょうだ・ようた)アラカルト>

 ◆生まれ 1994年(平6)4月22日、石川県能美市。

 ◆球歴 寺井小2年から軟式野球を始め、寺井中では白山能美ボーイズで全国8強。青森山田では入学直後から背番号6でレギュラー。日大でも1年春からリーグ戦に出場。3年秋にベストナイン。今夏の日米大学野球代表。

 ◆松井秀喜 出身が隣町。オフのイベントでは小4でサインボール、小5でサインバット、極めつきは小6のとき、わずか3%ほどの確率でヤンキースタジアム観戦ツアーに当選。「不思議と縁があるんです」。勝負強い打撃にあこがれる。

 ◆サイズなど 182センチ、80キロ。右投げ左打ち。50メートル走5秒8、遠投95メートル。血液型O。家族は両親と妹。