阪神金本知憲監督(48)が21日、ドラフト1位指名した白鴎大・大山悠輔内野手(21=つくば秀英)に来春の1軍キャンプ発進を確約した。ドラフト会議から一夜明け、攻守両面のポテンシャルの高さを評価。現在の三塁ではなく、二遊間からスタートさせて北條、大和らと競わせるほか、高山や原口ら全員のライバルとして競争の輪に入れ込む。大山指名で外国人の補強戦略も野手から投手にシフト。チームを変える男だ。

 大山の電撃1位指名から一夜明け。東京から空路、甲子園に戻って秋季練習を視察した金本監督がにやりと笑った。「何で(1位で)ピッチャー行かないんですかって」。目の前で懸命にバットを振る高山、原口、北條らの若虎たちの本心を想像。大山の来春キャンプ1軍発進について「そう」と12球団最速で確約し、開戦ゴングを鳴らした。

 「外野もできるし、サード、セカンド、ショート、ファーストとどこでもできる。発奮材料のレベルではなく、死活問題だからね。みんな感じてると思うし、普通はヤバイと思うわね」

 大学日本代表の4番はスラッガーとしてもすごいが、守備も超ユーティリティー。「スローイングに自信があって、(黒宮)監督も試合で悪送球を見たことないと言っていた。かなりレベルが高い」。まだ仮契約もしていないが、1軍キャンプも間違いない逸材と確信。二遊間で北條や大和らと競わせる方針だ。

 「すぐに簡単なポジションをやらせるのではなく、難しいところから。北條さんがいるけど、二遊間から試して、限界になったらサード、外野という感じで」

 レギュラー格と期待できる男の指名は補強戦略もプラスに働く。ドラフト当日、監督が「言い出しっぺになって」、1位を投手の佐々木や田中から大山に大転換。理由について「来年は(即戦力)野手が少ないのが1つ。もう1つは投手は外国人でも失敗が少ないから補えるけど、外国人野手は来てみないとわからないから」と明かした。投手補強を成功例の多い助っ人中心に転換できる。チーム構成を左右できるほどの男とホレ込んでいる。

 「小久保(裕紀)や井口(資仁)、山田(哲人)も30発打ったし、セカンドが打つ時代になってきている」。虎に途絶えて久しい和製大砲候補がチームを変える予感だ。【松井清員】

 ◆大山悠輔(おおやま・ゆうすけ)1994年(平6)12月19日、茨城県生まれ。7歳で野球を始め千代川中では軟式野球部に所属。つくば秀英では投手兼内野手。最速143キロで高校通算27本塁打。白鴎大では1年春に初出場し、今春リーグタイ記録のシーズン20打点を挙げた。家族は父正美さん(49)母理紗さん(33)妹亜美さん(19)弟悠翔さん(10)妹桃果さん(7)。181センチ、85キロ。右投げ右打ち。