大砲競演で勝利を呼び込んだ。日本ハムのブランドン・レアード内野手(29)が1-1で迎えた8回2死一塁で、広島ジャクソンから中堅左に決勝2ランを打ち込んだ。頼れる本塁打キングが第1戦に続くアーチで、本拠地を沸かせた。

 値千金の一振りだった。レアードが右手の指を均等に開き、誇らしげに突き上げた。1-1の8回2死一塁。徹底的な外角攻めが続いた4球目。「スライダーを待っていた」。狙い通りの変化球を振り抜くと、打球はあっという間に中堅スタンドに飛び込んだ。パ・リーグ本塁打王は「最高の気分。みんな盛り上がってくれて幸せ」と喜びを爆発させた。地鳴りのような大歓声の中、恒例のすしを握る「すしポーズ」を披露した。

 続いて新パフォーマンスが飛び出した。三塁側ベンチで待つチームメートと歓喜を分かち合った後、両手を握り、手首をクルクル回した。炭火の上で、やきとりを焼くシーンを再現した「やきとりポーズ」。「誰かに言われたことを、ふと思い出してやったんだ。僕の野球人生が終わる頃には、いろんな料理を作っているんだろうね」と笑った。

 栗山監督は「久しぶりに興奮した。勝負の仕方が気持ちいい」とたたえた。この打席まで無安打と精彩を欠いた。「若干、イライラしていた」と殺気立っていた。打席での判定に納得いかず、怒りに満ちた感情を表に出していた。見かねた指揮官から「ベンチでイライラすんな」と声を掛けられるほどだった。迎えた大チャンス。「ああいう場面は燃える。日本シリーズは、こうあるべきなんだ」と不振を拭い去った。

 無類のムードメーカーも、失意に沈む日を過ごした。10月中旬、米ロサンゼルスの祖父が亡くなった。異国で活躍する孫の姿を応援しようと、試合開始時間に目覚まし時計をセット。時差もある中でネット中継を通して声援を送っていた。祖父の口癖は「結果を出せ」。この日の試合前練習には、右手の打撃グローブに「グランパ」と書き、思いを込めた。

 お立ち台では、上達した日本語で大絶叫した。「ファイターズ、ダイスーシー!」。大好物の「すし」と「ダイスキ」をかけた決めゼリフ。「最初の2戦は緊張した。こういう形で連勝できて緊張が取れた。盛り上がってきたね」と表情を緩めた。日本一へ極上すしを握り続ける。【田中彩友美】

 ▼レアードが8回に勝ち越し2ラン。シリーズでV打を放った日本ハムの外国人選手は、セギノールが06年第5戦と07年第1戦で記録して以来2人目になる。今季のレアードは39本で本塁打王を獲得。その年の公式戦本塁打王がシリーズで「Vアーチ」は15年第3戦山田(ヤクルト)以来だが、外国人キングでは85年第1、第2戦バース(阪神)90年第1戦デストラーデ(西武)01年第2戦ローズ(近鉄)に次いで4人目だ。