13年日本一以来のAクラス入りを狙う楽天が、本腰を入れてFA戦線に乗り込む。星野仙一副会長(69)が2日、この日に海外フリーエージェント(FA)権の行使を宣言した西武岸孝之投手(31)の獲得に動くことを表明した。球団は大型契約に加え背番号、交渉解禁日の即日アタックなど、万策を講じて交渉へ臨む。

 何としても意中の右腕を仙台に招き入れる。岸の宣言を伝え聞いた星野副会長が情熱をたぎらせた。

 星野副会長 最大限の誠意で口説きますよ。手を挙げてからが勝負。ライバルは多いだろうが、チャンスはある。しばらくは片思い? 俺は、片思いで終わったことがないんだよ。

 宮城出身の通算103勝右腕には複数球団からの獲得オファーが見込まれている。最大限の熱意を届けるために、球団は最大で4年16億円(推定)に達する大型契約を用意。岸が西武1年目の07年から背負っている背番号「11」についても、現在楽天で11をつける塩見の了承が得られれば、提示する方向で調整を進めている。注目が集まる初交渉は11日の交渉解禁日に設定。既に副会長自らが出馬を表明しており、解禁即日アタックで最大級の誠意を届ける。

 獲得に至れば、ローテの柱となれる先発投手を1人加えること以上の価値があると感じている。星野副会長の脳裏に浮かんだのは、日本一となった13年に現ヤンキースの田中を追いかける則本の姿だった。

 星野副会長 仮に獲得できたら、則本に一番刺激になるんじゃないか。(田中)将大がいたころはあれだけ張り切っていたのに、今は近づくやつがいない。いわゆる相乗効果。他の投手にもそうだ。ウチのフォアボールの多さは日本一、世界一じゃないか? 岸はフォアボールを出さない。お手本になってくれれば。

 梨田監督も「ケガさえなければ2桁が計算できる投手。3連戦で則本、岸といければかなりの力になる」と夢プランを思い描く。先発投手陣に厚みが増せば、4年ぶりのAクラス入りはさらに現実味を増す。最大限の誠意を携え、交渉のテーブルに着く。