<楽天7-2日本ハム>◇29日◇Kスタ宮城
マー君が仙台で技巧派に変身した。楽天田中将大投手(19)が打たせて取る投球で日本ハム打線を4安打2失点に封じ、今季初勝利を完投で飾った。昨年3つの完投勝利ではすべて球数が130球を超えていたが、この日は切れのあるシュートで押して111球の省エネ勝利だった。調子によって球種を使い分ける頭脳的な投球で、チーム初の3試合連続完投勝利を成し遂げた。
雄たけびも目いっぱいの直球も必要なかった。立ち上がりで調子がいまひとつと判断した田中は、2回からスタイルをがらりと変えた。「いつもなら三振を狙うところを、打たせて取るのに切り替えました」。9回2死から本塁打を打たれたスレッジにだけ最速150キロの速球で真っ向勝負を楽しんだが、そのほかはシュートで内野ゴロとフライを打たせる技巧派の投球。本拠地開幕戦での初勝利で、田中は新境地を開拓した。
力で押す投球から、ていねいにコースを突く投球に切り替えたことで、疲労も軽減された。「少し力をセーブして投げました。こういう投球を持っている方が勝ちにつながる」。結果は自己最少となる111球での完投勝利となって表れた。
初登板の22日ソフトバンク戦では8回までに134球を投げて「いっぱい、いっぱい」になって完投できず、救援陣が打ち込まれてサヨナラ負けした。苦い経験を生かした。
マー君も今年で20歳。身だしなみにも気を使う。髪も短髪だった昨春より伸びた。「髪が伸びたせいで、投げた後に帽子がよく飛ぶんですよ」。前回22日のソフトバンク戦でも度々帽子が飛び、マウンドの土がついたこともあったが、この日はほとんどずれなかった。適度に力を抜いた大人の投球は、帽子の汚れを防ぐことにも効果があった。
これでチームは球団初の3試合連続完投勝利で3位タイに浮上。野村監督は「(田中は)今年はあんまりよくないんじゃない。バランスがよくない」と手厳しかったが「ちょっとリリーフが手薄だから、こういうのが一番いいんだよ」と完投は素直に喜んだ。本格派だけで11勝を挙げた昨季の新人王が、技巧派も身につけはじめた。「ゴロやフライを打たせるのもおもしろいなと思いました」。新たな投球を覚えた楽しさで、横顔がニヤリと笑っていた。【小松正明】



