<ヤクルト2-4阪神>◇20日◇神宮
中6日で迎えた最終回のマウンドだった。満を持して登場した藤川が、圧倒的な力量を発揮した。役者が違う。落差の鋭いフォークで先頭城石、福地を空振り三振に仕留めると、代打宮出には真っ向勝負。150キロ速球を投じ、バットに触れさせない。圧巻の3者連続空振り三振をマークし、完ぺきに締めた。
藤川
抑えられて良かった。休ませてもらったし、その間しっかり調整しようと思っていた。結果に出て良かったですね。(久しぶりだが)感触は悪くない。
13日横浜戦(横浜)以来の登板だったが、ブランクとは無縁だ。自らの体と「対話」し、練習を微調整する。この日の試合前。神宮外苑グラウンドで約70メートルの、通常行わない遠投を繰り返した。実戦から離れた右肩に、刺激を与える意図があった。「シーズン中はなかなかできないですし」と説明する。3日間は雨天のため、狭い室内での調整を強いられた。右肩に適度な張りを与える工夫。16日以来の屋外練習で右肩の状態を高めていた。
人との出会いも、力に変える。今年2月、沖縄・宜野座キャンプのブルペン。「フォークの神様」の異名を取る杉下茂氏から直接指導を受けた。杉下氏は言った。「フォークは落とそうと思ったらダメなんだ。ホームベースめがけて投げなさい」。これを聞いた中西投手コーチも「確かにそうだ。あれは分かりやすい表現だろうな」と振り返る。
この日はフォークを最大限に駆使して3奪三振。昨季10試合登板時に「15・88」だった奪三振率は、この日で驚異的な「18・90」まで上昇した。フォークの精度アップはオフから一貫したテーマ。進化したフォークが好記録を後押しした。
これで開幕から10試合連続セーブをマーク。93年の田村勤に並ぶ球団記録だ。開幕からの連続セーブは、93年広島大野の12試合が最長。その更新すら現実味を帯びる。通算74セーブを重ね、高知商の先輩にあたる中西コーチが現役時代にマークした球団2位75セーブにも「王手」をかけた。まさに、記録尽くしの状況だが、気にもとめない。
藤川
(セーブのつく場面で起用する首脳陣の気遣いには)うれしいです。でも、まだ始まったばかりです。しっかり足元を見てやっていきます。
底知れぬパワーを秘めた球児が、快進撃をさらに推し進める。【酒井俊作】




