<横浜5-6ソフトバンク>◇29日◇北九州

 

 ソフトバンク大隣憲司投手(23)が投げて打ってチームを勝率5割復帰に導いた。プロ初本塁打を含む2安打2打点1得点。投球では横浜打線を6回まで3安打無失点。7回に2点を失い降板したが5勝目だ。28日の横浜1回戦(大分)では、先発したガトームソンが本塁打を打っている。パ・リーグ投手の2試合連続本塁打は1969年8月9、10日の稲尾、池永(ともに西鉄)以来39年ぶり。投手の打棒炸裂でソフトバンクが浮上した。

 誰よりも、打った本人が驚いていた。先発大隣が、まさかの1発をたたき込んだ。2回、1死二塁で左打席に立つとカウント0-1からの2球目。外角高めにきた137キロ直球に力負けすることなく、振り切った。打球は左翼席へ飛び込むプロ初本塁打。「がむしゃらにバットを振ったという感じ。まさか本塁打になるとは。テンション上がりましたよ」。この回、7番長谷川が右前打で出塁すると、王監督は8番山崎に送りバントを命じた。併殺を避け、大隣はアウトでも、2死二塁で1番本多で勝負する「交流戦用」の作戦だった。だが予想外の打棒がさく裂してしまった。

 先発投手では珍しく、試合前にミラールームでバットスイングを繰り返していた。とはいっても近大時代の通算打撃成績は、打率2割2厘(94打数19安打)。決して得意とはいえないバットから、パ・リーグ投手39年ぶりとなる2試合連続弾が飛び出したのだ。大隣は6回にも内野安打でマルチヒットだ。

 もちろん、本職の投球でもチームに流れを呼び込んだ。初回、安打と四球で2死一、二塁のピンチ。「とにかく立ち上がりは思い切り行こうと思っていた。何度も同じ失敗を繰り返せませんから」。5番金城にはフルカウントまで粘られたが、最後はチェンジアップでタイミングを外し、空振り三振に仕留めた。ここ3試合連続で初回に失点を重ねていたが、この日は課題をしっかりと乗り越え、6回まで3安打無失点。調整法に工夫を凝らした。試合前のブルペン投球も、本来は約30分前に行うものを、この日はあえて遅らせ試合直前に行うことで、立ち上がりの悪癖改善につなげた。

 7回に2点を失ったところで降板したが、打者25人に対し、初球にストライクから入った打者は16人。「今日はテンポよく投げられた。最初にストライク先行で行けば、それが自分の(本来の)投球につながったと思う」。これでチームの成績も、自身の成績(5勝5敗)も五分に戻した。ただ、当然納得できる数字ではない。「(本塁打は)計算できることじゃない。(大隣は)7回までしっかり投げ切ってほしかった」と強い口調で王監督は言った。指揮官の言葉には、大隣への期待の高さが表れている。【石田泰隆】