ジャイアンツの若きトップバッターが、セ界のリードオフマンになる。巨人坂本勇人内野手(20)が29日、「マツダオールスター2009」(第1戦=7月24日、札幌ドーム、第2戦=同25日、マツダスタジアム)で全セの指揮を執る原監督から「セ・リーグの1番として、坂本が戦えるかどうか見たい」と、1番打者の指名を受けた。30日からの西武2連戦を前に、この日は西武ドームでの全体練習に参加。3割5分5厘で打率首位を走るバットで昨年日本一の獅子を打ち砕き、球宴でも大暴れする。

 埼玉・所沢の西武ドームで指揮官の考えを伝え聞いた坂本は、背筋をピンと伸ばした。「光栄です。オールスターは(シーズンと違い)何も考えなくていいので、思い切っていきたい。初球からフルスイング?

 そうですね」と、力強く全力プレーを誓った。

 年に1度のお祭り。原監督が「夢、あこがれという意味ではWBCと同じです。野球界の最高峰の舞台。羨望(せんぼう)の目で見られ、誇りを持って戦うのは(WBCと)同じ」と話す場所で、とびっきりの栄誉を与えられる。この日、都内ホテルで行われたオールスターの監督会見。「絶対メンバーに入れたい選手は」という質問に答えた原監督から「坂本が強者の中に入って、どの程度やれるのか見てみたい」と、1番打者に指名された。巨人の外国人投手では史上初めて開幕から5戦5勝のゴンザレスとともに、迷うことなく名前を挙げられた。

 開幕は8番も、好調なバットを買われ今月6日から1番を任されている。この男が暴れれば、チームは負けない。坂本が1番で安打、得点、打点すべてを記録した試合は5戦全勝中。開幕当初は固まらなかった打順だが、坂本の1番固定はチーム方針となっている。

 「今はオールスターに出るため必死に頑張るだけです」。球宴のファン投票が始まる30日、くしくも昨年日本シリーズで涙をのまされた西武と対する。相手の先発予想は帆足、岸と続く。日本一に王手をかけ迎えた同シリーズ第6戦。好機で帆足、岸のリレーを打てなかった。第7戦も落としたチームは日本一を逃した。再び巡ってきた対戦に「岸さんのカーブは独特。状況によって狙っていきたい」と臆(おく)することはない。リベンジの岸撃ちで、すべての野球ファンに「セ界の坂本」をアピールする。【古川真弥】

 [2009年5月30日8時17分

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