横浜尾花高夫監督(52)が15日、2月の宜野湾キャンプで、若手投手陣に球数無制限指令を出した。この日、神奈川・大磯町で監督としては異例の自主トレをスタート。ブルペンでは球数制限は課さず、納得のいくまで投げ込ませることで肩のスタミナを強化させる。2年連続で防御率リーグワーストの投手陣再建をテーマに掲げる新監督が、キャンプに向けて具体的に動きだした。

 徹底的に投げろ!

 異例の監督自主トレ初日、尾花監督が「無制限投げ込み指令」を出した。2月1日からの宜野湾キャンプでは若手投手陣に球数制限を課さず、納得するまで投げさせる。「球数制限なんてある程度の経験がある選手がするもの。投手は感覚が大事。数多く投げ込まないと(いい)感覚はつかめない。覚える時期に覚えないとだめ」と方針を話した。

 近年、キャンプ中の球数は各自に任されていた。昨年は全体的にセーブ気味で例年なら300球超えも珍しくない三浦や工藤のベテラン勢も150球前後。経験豊富なベテラン勢なら問題ないが、若手はアピールしなければいけない。

 2年連続リーグ最下位の防御率。投手陣再建のためにはエース三浦、ロッテからトレード移籍した清水に続く若手の台頭が欠かせない。「候補はいる。他のチームにだってひけは取らない」と言うように山口、小林太、藤江らが先発として独り立ちすれば、チーム事情も楽になる。昨年守護神の山口は今季から先発に転向する。「肩のスタミナをつけるには数多く投げないとだめ。(長い距離を走り込む)マラソン選手と(ダッシュなど瞬発系が中心の)短距離選手みたいなもの」と直々の投げ込み指令が飛んだ。

 「無制限」とはいえ、ただ球数を投げさせることはしない。練習でも1球1球にテーマを持たないと意味がない。「考えてやっていれば投げていれば、自然と数は増える。200球投げたっていい。内容重視。今の選手は数ばっかり気にしている。ただ球数と勝負しているだけ」と投手出身らしく指摘した。大事なのはどれだけ投げたかという数字ではなく、どんな球を投げたか。「キャッチボールも大事にしろと言っている」とも付け加え、ブルペンだけでなく、常に1球の意識を徹底させる。

 自身の初投げとなったこの日、砂浜で50球のキャッチボールを敢行した。力のこもった球に「バッティングピッチャーぐらいはしないとだめだからね。まだまだ投げられる。100キロぐらいは出る」と笑みを浮かべながらも、報道陣から体の開きを指摘されると「すぐに修正する」と本気モードもうかがわせる。始動日とは思えぬ熱の入ったピッチングで、若手の尻をたたいた。【鈴木良一】

 [2010年1月16日9時17分

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